【AFP=時事】チェコのアンドレイ・バビシュ首相は7日、レイプとドメスティックバイオレンス(DV)で告発されている容疑者を環境相に指名したと発表した。 バビシュ首相率いる中道右派政党「ANO2011(ANO)」は昨年10月の総選挙で勝利。同12月に極右の「自由と直接民主主義(SPD)」と右派の「モータリスト」という二つの欧州連合(EU)懐疑派(反EU派)政党と連立政権を樹立した。 だがバビシュ首相は当時、モータリストの環境相候補であるフィリップ・トゥレク容疑者(40)を指名しなかった。ペトル・パベル大統領が難色を示したためだ。 トゥレク容疑者は元カーレーサーで、2024年に欧州議会議員となったが、現在は元交際相手の告発を受けてレイプとDVの容疑で捜査を受けている。 メディアはトゥレク容疑者が女性蔑視的・人種差別的なSNS投稿をしていたと報じている。また、警察はトゥレク容疑者がナチス・ドイツ関連グッズを所有し、ナチス式敬礼を行っていたとの疑惑についても捜査を開始したが、その後、本件の捜査は打ち切りとなった。 バビシュ首相は記者団に対し、「モータリストとの合意に基づき、トゥレク氏の指名を大統領に提出した」「トゥレク氏にチャンスを与えるよう対統領を1時間説得したが、拒否された」と述べた。 モータリストは当初、トゥレク容疑者を外相にする方針だったが、国民の激しい反発を受けて断念した。 トゥレク容疑者に関する決定が出るまで、モータリストのペトル・マツィンカ党首が外相と環境相を兼任している。 パベル大統領は昨年のクリスマス前にトゥレク容疑者と会談した後、同容疑者の行動は「チェコ憲法に定められた価値観への忠誠心に疑問を投げかけるものだ」と述べた。 大統領府は、「大統領は、このような行動をとる人物がチェコ政府の閣僚となるべきではないと強く確信している」としている。 憲法専門家のヤン・キセラ弁護士はAFPに対し、パベル大統領は憲法に従ってトゥレク容疑者を環境相に任命すべきだが、閣僚任命に関する条項は曖昧なため、任命を拒否しても「行き過ぎ」ではないと述べた。 「大統領がトゥレク氏を任命したくない理由はたくさんある」「おそらく任命しないだろう」と付け加えた。 バビシュ首相自身もEUの補助金をめぐる不正疑惑で公金横領の罪で起訴され、裁判にかけられている。さらに、SPD所属のトミオ・オカムラ下院議長も、憎悪扇動の罪で裁判にかけられる予定だ。 警察が2人の議会免責特権(議員が逮捕・訴追を免除される)停止を求めた場合、バビシュ首相とオカムラ下院議長が手を組むのではないかと指摘されている。【翻訳編集】 AFPBB News