マドゥロ大統領拘束の理由だったが…麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス」は実存しないのか(1)

トランプ米政権がベネズエラのマドゥロ大統領拘束の名分とした麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス(Cartel de los Soles、太陽のカルテル)」が俎上に載せられた。トランプ政権はカルテル・デ・ロス・ソレスを実存する麻薬組織と規定し、その首長をマドゥロ大統領と見なして法廷に立たせたが、最近こうした主張を事実上撤回した。 ニューヨークタイムズ(NYT)は5日(現地時間)、「トランプ政権は依然としてマドゥロ大統領が麻薬密売共謀に加担したと疑っているが、カルテル・デ・ロス・ソレスが実存する組織という主張は撤回した」と報じた。米司法省が公開したマドゥロ大統領の起訴状が修正されたからだ。マドゥロ大統領を逮捕した直後、米連邦裁判所が公開した米司法省の起訴状にはカルテル・デ・ロス・ソレスは「実存する組織」で、マドゥロ大統領は同組織の「首長」となっていた。 しかし米司法省はその後、起訴状でこうした内容を修正した。実際、現在公開されている起訴状にはカルテル・デ・ロス・ソレスが「麻薬資金によって動く後援システムまたは腐敗文化を示す表現」と書かれている。また従来の起訴状ではカルテル・デ・ロス・ソレスに32回言及しながらマドゥロ大統領を同組織のボスと描写したが、修正された起訴状では言及回数が2回に減り、マドゥロ大統領も「ウゴ・チャベス前大統領と同じくこうした後援体系を維持・保護した人物」と表現された。 これまでトランプ政権は同組織が実在することを前提にベネズエラ政権に圧力を加えてきた。昨年7月、米財務省はカルテル・デ・ロス・ソレスをテロ組織に指定し、11月には米国務省も同じ措置を取った。ルビオ国務長官はマドゥロ大統領について「麻薬テロ組織カルテル・デ・ロス・ソレスの首長であり、米国と欧州で麻薬を密売する者」と非難した。 ただ、同組織が実存する組織かどうかという論争は制裁直後から提起されてきた。NYTはこの用語について「ベネズエラで1990年代から使われてきた『慣用句』で、麻薬資金で腐敗した軍高官をいう表現」とし「ベネズエラは軍階級を太陽の形のバッジで表現するが、これを借用した隠喩的表現」と伝えた。すなわち、カルテル・デ・ロス・ソレスはベネズエラ軍部内の麻薬密売を包括的に表す用語であり、単一の麻薬密売組織を意味するのではないということだ。 実際、カルテル・デ・ロス・ソレスは米麻薬取締局(DEA)の年次「国家麻薬脅威報告」でも言及されたことがなく、国連麻薬犯罪事務所の「世界麻薬報告書」でも扱われていない。国際危機グループのフィル・ガンソン研究員はNYTに「カルテル・デ・ロス・ソレスはベネズエラのジャーナリストが作り出した名称にすぎない」とし「そのような組織はない」と伝えた。15年以上もカルテル・デ・ロス・ソレスを研究してきた中南米犯罪・安保シンクタンク「インサイト・クライム」の共同設立者ジェレミー・マクダーモット氏もフィナンシャルタイムズ(FT)に「カルテル・デ・ロス・ソレスは垂直的に統合された組織でない」と話した。

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