東京都文京区の「マッサージ店」で昨年11月、タイ人の12歳の少女が違法に働かされていたことが明らかになった。専門家によると、今回のような人身取引はかねてあり、買春した側が罰せられないなど、日本社会が抱える問題も多いという。齋藤百合子・大東文化大特任教授に聞いた。 ――人身取引が現代の日本で行われていることに驚きました 日本での人身取引は決してめずらしいものではありません。 1980年代には、フィリピン人女性が興行ビザでエンターテイナーとして来日し、人身取引に巻き込まれるケースが確認されていました。80年代後半~90年代前半にはタイ人女性が観光ビザで入国し、被害に遭う事件が急増しました。2005年には警視庁が13歳のタイ人少女を性的な仕事に従事させたとしてブローカーの女を逮捕。17年には群馬県警がカンボジア人女性の人身取引をした疑いのある男女を逮捕しました。 ――なぜ東南アジアの女性が多いのでしょうか タイの場合、北部出身の女性の被害が多い印象です。60~70年代、北部や東北部の一帯はバンコクなどの都市部と比べて開発が遅れている背景があり、経済的格差がありました。今回の12歳の少女も北部出身でした。 かつては、バンコクへ出稼ぎに来て、そこで「もっと稼げる仕事がある」などと持ちかけられ、普通の「マッサージ」の仕事だと信じて来日。そこでパスポートを取り上げられ、強制的に性的な仕事をさせられる――というパターンを多く見聞きしました。 東南アジアの他の国も、似た背景があります。ただ、開発途上国の貧困だけを理由に人身取引問題を語るのは、オリエンタリズムに基づく見下しです。買い受ける側の問題にも目を向ける必要があります。