韓国非常戒厳、内乱容疑で前国防相逮捕 検察「大統領が首謀」 尹氏への強制捜査に弾みか

【ソウル=桜井紀雄】韓国検察は11日未明までに、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に「非常戒厳」の宣布を進言したとされ、内乱容疑での告発を受け、緊急に身柄を拘束していた金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相を逮捕した。裁判所が逮捕状発付の可否を審査し、発付を認めた。検察は逮捕状に「尹大統領らと共謀して内乱を引き起こした」容疑を明記。尹氏が戒厳の首謀者と判断したもようだ。 尹氏の逮捕も視野に捜査機関が現職大統領に対する初の強制捜査に踏み切るかが焦点。戒厳の中心人物とされる金容疑者の逮捕で一連の捜査に弾みがつくとみられる。 金容疑者は弁護士を通じ「今回の事態に関する全責任は私にある」と表明し、逮捕状審査を欠席した。金容疑者は一切の政治活動を禁じるとした戒厳の布告令を作成し、部下に命じ、3日夜に国会などに兵力を投入させた疑いが持たれている。 韓国メディアによると、検察は金容疑者について内乱の首謀者ではなく、内乱に関する重要な任務を行った容疑を適用した。あくまで戒厳を布告した尹氏を首謀者と位置付けているもようだ。 国会に特殊部隊を送った司令官は10日、戒厳当夜に尹氏から電話で、国会での戒厳解除要求決議の可決を阻むため、「早くドアを壊して中にいるの人を引っ張り出せ」と指示されたと証言した。 大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外。尹氏には9日、出国禁止措置が取られた。国会は10日、戒厳の真相を独立して調べる「常設特別検察」による捜査を求める法案を可決。常設特別検察官は野党が候補を推薦し、大統領が任命する必要があり、実際に任命されるかは不透明だ。

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