自動車損害賠償責任(自賠責)保険の請求を巡り、行政書士が法律事務を繰り返したとされる弁護士法違反事件で、同法違反(非弁活動)容疑で逮捕された福岡市東区の「ピンチヒッター行政書士法人」副代表で行政書士の高萩慎司容疑者(46)が、2017年と22年に「非弁活動の疑いがある」として和歌山、福岡両県の弁護士会から聴取要請を受け、拒否していたことが捜査関係者への取材で判明した。福岡県警などは高萩容疑者が非弁活動になり得ると認識した上で保険金請求を続けた可能性があるとみて捜査している。 行政書士は依頼者のために事実証明などの書面を作成できるが、法的判断が必要な書面の作成や保険会社との交渉は法律事務に当たり、弁護士しかできない。 捜査関係者らによると、高萩容疑者は12~17年ごろまで、和歌山県を拠点に行政書士として活動。交通事故による後遺障害の等級認定申請を主に扱い、ホームページ(HP)で「交通事故で損しないためには今すぐお電話ください」などと宣伝していた。 和歌山弁護士会はHPの記載内容などを検討。保険会社や病院を相手に法的交渉をしている可能性があるとして17年1月、聞き取り調査を要請したが、高萩容疑者は拒否した。 その後、行政書士業を一時廃業した高萩容疑者は福岡県に拠点を移し、業務を再開。交通事故の被害者が加害者の自賠責保険会社に直接賠償請求できる「被害者請求」の代行業務を20年から始めた。 福岡県弁護士会は、被害者請求は書面で請求するものの、負傷の程度や治療期間を巡って保険会社側と争う可能性もあり、非弁活動に当たる余地があると判断し22年10月、聞き取り調査を文書で要請。だが、高萩容疑者からの返答はなかったという。 高萩容疑者は23年5月~24年4月、男女6人の依頼で自賠責保険を請求し、弁護士資格がないのに異議申し立てなど法律事務を繰り返して計数十万円の報酬を得た疑いで逮捕された。異議申し立てをしたことを認めた上で「違法とは知らなかった」などと供述しているとされる。福岡県警などは複数の弁護士会から聴取要請を受けた時点で非弁活動に当たる可能性を認識していた疑いがあるとみて追及している。【金将来】