死刑執行から64年 「菊池事件」とは? 隔離された法廷で裁かれた殺人罪 ハンセン病と司法を巡る「やり直し裁判」の訴え

死刑執行から64年。ハンセン病の元患者たちが「隔離政策が生んだ最大の冤罪」と訴える「菊池事件」について、熊本地裁は1月28日、裁判のやり直し(再審)を認めない決定を出しました。 裁判所は、憲法違反を理由とした裁判のやり直しと男性の無実の可能性のいずれも認めず、遺族側の再審請求を棄却しました。 弁護団共同代表 徳田靖之 弁護士 「このような決定を下しておいて、果たして裁判所は裁判所たり得るのかと、私は声を大にしたい」 ■時系列で追う「菊池事件」 そもそも菊池事件とは、どのような事件だったのでしょうか。 1952年、ハンセン病患者とされた男性が役場職員を殺害したとして殺人容疑で逮捕されました。 当時、国がハンセン病患者の強制隔離政策を進める中、殺害された職員は男性が患者であるとして熊本県に告発していて、その告発を恨んでの犯行とされました。 男性は無実を訴え、また医師の診断書を基にハンセン病であることも否定していました。 しかし、隔離された療養所内の「特別法廷」で裁判が開かれ、熊本地裁は死刑判決を言い渡しました。 男性は最高裁まで争いましたが死刑判決が確定し、3回目の再審請求が棄却された翌日の1962年に、死刑が執行されました。 その後、2017年にハンセン病の元患者たちが国を訴え、「特別法廷」を憲法違反とする判決が熊本地裁で確定。これを受けて遺族が熊本地裁に再審を申し立てていました。 ■弁護側と検察側の対立 裁判所によるこれまでの協議で、弁護側と検察側は大きく二つの点で対立していました。 一つは、憲法違反の手続きによって導かれた判決は無効だという「憲法的再審事由」を認めるかどうか。 もう一つは、本当に男性が犯人かという「実体的事由」での争いです。 28日の決定で、熊本地裁は「ハンセン病を理由に裁判所とは別の場所で裁判を行ったのは法の下の平等を定めた憲法に違反する」などとしたものの、「裁判所で審理をしたとしても確定した判決の証拠などに影響はない」として、再審開始を認めませんでした。

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