<追跡公安捜査>大川原冤罪、公安幹部らに「528万円負担を」 警視庁への勧告受け

化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件で東京都と国が支払った約1億8500万円の損害賠償を巡り、都は6日、警視庁公安部の幹部と捜査員の計3人に対し、賠償額の一部の計528万円を負担させると発表した。大川原側の住民監査請求を受け、都監査委員は1月、3人に賠償額の負担を求める「求償権」を行使するよう警視庁に勧告していた。 国家賠償法には、公務員個人に故意や重大な過失があった場合、求償権の行使を認める規定があるが、違法捜査を巡って捜査員個人に賠償額を負担させるのは極めて異例。恣意(しい)的な捜査への抑止力となる可能性が高い。 3人は、捜査を指揮した公安部外事1課の渡辺誠管理官と宮園勇人係長、違法な取り調べをしたと確定判決で認定された安積(あさか)伸介警部補(肩書はいずれも当時)。渡辺、宮園両氏は、すでに定年退職している。 賠償の負担額は渡辺、宮園両氏がそれぞれ250万円、安積氏が28万円。 監査結果は、捜査の過程で、渡辺、宮園両氏には「ほとんど故意に近い重過失」、安積警部補には「故意」があったと認定。4月15日までに3人の負担額を決めるよう求めていた。 事件を巡っては、公安部と東京地検の捜査を違法と認定し、賠償を命じた東京高裁判決(2025年5月)が確定している。都と国が負う賠償額は遅延損害金を含めた計約1億8500万円で、うち都の負担は約9500万円に上っていた。 この冤罪事件では、公安部が20年3月、不正輸出の疑いがあるとして、大川原の社長らを外為法違反容疑で逮捕。捜査は警察内部で高く評価され、外事1課は警察庁長官賞と警視総監賞を受賞し、3人はいずれも昇任した。しかし、21年7月、東京地検が「起訴内容に疑義が生じた」として、起訴を取り消した。 その後、捜査に関わった公安部の歴代幹部ら19人が処分(退職者は処分相当)されているが、最も重かったのは渡辺、宮園両氏の減給100分の10(1カ月)の懲戒処分相当だった。安積警部補は懲戒処分にも満たない「警務部長訓戒」にとどまっていた。 大川原側はこれらの処分について「軽すぎる」と批判。「個人の責任を明確にしない限り、これから先の冤罪を防ぐことができない」として、25年11月に住民監査請求を起こしていた。【遠藤浩二】

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