米NYマンハッタンのホテル前で大手医療保険会社のCEOが射殺された事件で、逮捕されたルイジ・マンジョーネ容疑者を称賛したり、支援する動きが米国の一部で広がっている。容疑者の弁護費用を集めようというオンライン募金活動には、1000件を超える寄付が集まった。背景には、米国の医療保険や医療制度への市民の不満があるようだ。 米シアトルの街に描かれたストリートアート――人気テレビゲーム「マリオブラザーズ」のキャラクター「ルイージ」と、斜線で消された米医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのロゴが描かれている。これは同社のブライアン・トンプソンCEOを射殺したとして逮捕されたルイジ・マンジョーネ容疑者を想起させる。 同容疑者は一部で「民衆の英雄」あるいは「セレブ」、「ネット民の憧れ」が混ざり合った不穏な存在となっている。逮捕以降、彼への支持はますます強まっているようだ。 容疑者のグッズを販売するウェブサイトができたほか、弁護費用を集めようというオンライン募金活動には1000件を超える寄付が集まった。容疑者を支持、あるいは犯行を称賛するメッセージまで寄せられている。 マンジョーネ容疑者は、NYマンハッタンのホテル前で会合出席のため訪れたトンプソンさんを待ち伏せし、射殺した容疑が持たれている。容疑者は事件後逃走していたが5日間に及ぶ追跡の末、逮捕。ペンシルベニア州で拘留されており、NY州の検察が身柄引き渡しを求めている。 容疑者を称えるアートはほかにも。病気の3人の子供たちを写した写真に「否認」「弁護」「証言」という言葉が書かれている。これは犯行で使われた銃弾の薬きょうに書かれていたとされる言葉だ。 今回の事件は、医療費の支払いや受診することにさえ困難を感じている米国民の共感を呼んでいる。 容疑者の友人やSNSの投稿によると、マンジョーネ容疑者は慢性的な腰痛で日常生活に影響を受けていた。ただこのことが、事件の動機につながったかはわかっていない。