福岡高裁、飯塚事件の新証言「信用極めて困難」 弁護側は特別抗告へ

1992年に福岡県飯塚市で小学1年の女児2人(共に当時7歳)が誘拐、殺害された「飯塚事件」で死刑が確定し、2008年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求の即時抗告審で、福岡高裁は16日、やり直しの裁判(再審)を認めない決定を出した。溝国禎久裁判長は請求を棄却した福岡地裁決定(24年6月)について「手続きの違法はない。判断も不合理でなく、正当」と述べ、弁護側の即時抗告を棄却した。弁護側は最高裁に特別抗告する方針。 略取誘拐や殺人の罪に問われた久間元死刑囚は逮捕後、一貫して無実を訴え、事件と元死刑囚を結ぶ直接的な証拠もなかった。確定判決は、通学中の女児2人を最後に見たとされる女性の目撃証言を基に、連れ去り現場は飯塚市内の「三差路付近」と認定。その付近などで目撃された不審な車と、元死刑囚の車の特徴が一致したことが有罪の根拠の一つとされた。 弁護側は第2次再審請求で、「最後の目撃者」とされた女性が自ら当時の説明を覆し「2人を見たのは事件当日ではない」とした新証言を新証拠として提出。「女性は当時も捜査当局に『その日に見たのか、はっきりしない』と説明したが、聞き入れてもらえなかった」とし、警察や検察が虚偽の供述調書を作成した可能性を訴えた。新証言が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」(明白性)に当たるかが焦点だった。 これに対し高裁決定は地裁決定と同様、女性の新証言の内容が「当日かどうかはっきりしない」から「当日じゃないと思う」などと変遷していると指摘。警察官が糾弾されるリスクを冒してまで虚偽の調書を作成した可能性も乏しい上、「女性が弁護人の見解などに無意識のうちに迎合するなどして記憶自体が変容した可能性も否定できない」と述べ、新証言を信用するのは極めて困難と判断した。 福岡高検の村中孝一次席検事は「即時抗告を棄却した高裁決定の結論は妥当」とのコメントを出した。【森永亨】

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