再審請求棄却は「不合理でなく正当」 飯塚事件の〝新証言〟の信用性否定 福岡高裁

福岡県飯塚市で平成4年に小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、20年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚=執行時(70)=の第2次再審請求審で、福岡高裁(溝国禎久裁判長)は16日、再審開始を認めなかった福岡地裁決定は「不合理でなく正当」として、弁護側の即時抗告を棄却した。 弁護側は決定を不服として最高裁に特別抗告する方針。これまで死刑執行後の再審が認められた例はない。 直接証拠はなく、元死刑囚は一貫して否認したが、誘拐現場とされた通学路などで元死刑囚のものと似た車が目撃されたことや、遺体に残された血液と元死刑囚のDNA型が一致したことなどの複数の状況証拠を根拠に死刑が確定した。 再審請求審では、確定判決が被害女児の最後の目撃者とした女性が「実際に目にしたのは当日ではなく、警察に押し切られて記憶と異なる供述をした」と証言。弁護側はこの証言で、犯行車両の特定に関する状況証拠が揺らぐと訴えていた。 しかし、高裁決定はほかにも登校中の女児を目撃した人はおり、女性の供述の重要性はそもそも「限定的」だとした上で「捜査に混乱をもたらすリスクを冒してまで、警察官が供述を創作した可能性は乏しい」と指摘。「報道や弁護人の見解に無意識のうちに迎合し、記憶自体が変容している可能性は否定できない」と判断し、証言の信用性を否定した。(永井大輔) ◇ 飯塚事件 平成4年2月20日、福岡県飯塚市で小学1年の女児2人が登校中に行方不明になり、翌日約20キロ離れた山中で遺体が見つかった事件。約2年半後に逮捕された久間三千年元死刑囚は18年に殺人罪などで死刑が確定。20年に執行された。第1次再審請求審で裁判所は、現場に残された血液と元死刑囚のDNA型が「一致しない可能性もある」と指摘したものの、ほかの状況証拠だけでも犯人性は認定できる、と結論付けた。

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