ヒュー・スコフィールドBBCパリ特派員 フランス中部リヨンで12日、左派政党の議員に抗議する極右団体の集会があり、その集会を支援していた23歳学生が、路上で若者の集団に襲われた。ナショナリストとして活動していた学生は14日に死去した。フランスでは現在、学生の死は「反ファシズム」武闘派によるものだとして、急進左派の関係者たちが非難されている。 数学専攻の学生で右派活動家だったカンタン・ドゥランク氏は、路上で若者の集団に殴られた2日後に死亡した。 リヨンのティエリ・ドラン検事は16日午後の記者会見で、殺人事件として捜査を開始したと述べた。調べによると、ドゥランク氏は「少なくとも6人」に殴る蹴るされたという。解剖の結果、頭蓋骨と脳に致命的な損傷が確認されたと、検事は明らかにした。 リヨンでは12日、政治学院を訪れた左派政治家に抗議するため、極右の女性の権利団体「ネメシス」が小規模な集会を開いていた。ドゥランク氏は、この集会を支援していた。 抗議集会から少し離れた場所で撮影されたスマートフォン動画には、3人の若い男性が大勢に殴る蹴るされる様子が映っている。襲われた男性3人のうち1人はデランク氏と見られ、地面に倒れてから起き上がらなかった。 ドラン検事によると、二つのグループの衝突がまずかり、それから間もなく、逃げ切れなかったナショナリストの3人が、相手側の集団に追い詰められた。ドゥランク氏はその一人だった。 エマニュエル・マクロン大統領率いる中道右派政権の閣僚たちは、ドゥランク氏の殺害を「極左」活動家の犯行だと非難した。 ロラン・ヌニェス内相は、「明らかに極左のしたことだ(中略)これは暴徒による殺害だ。加害者たちはおそらく、致命傷を与えるつもりはなかったのだろう」と述べた。 ジェラルド・ダルマナン法相も、「彼を殺したのは極左だ。それは疑いようがない」と述べた。 ドラン検事は、容疑者の特定に向けて捜査を続けているものの、これまで逮捕者は出ていないと話した。 フランスでは重要な地方選挙を3月に控え、政治情勢が緊張している。その中で16日には、急進左派政党「不服従のフランス(LFI)」と、過去にその集会で警備を担当していた禁止団体「ル・ジュヌ・ギャルド(青年警備隊)」に、注目が集まった。 リヨンでLFIのリマ・アサン欧州議会議員に抗議した「ネメシス」のメンバーたちは、当初デモを妨害した集団の中にル・ジュヌ・ギャルドの活動家を見たと述べた。ル・ジュヌ・ギャルドは関与を否定している。 ドラン検事によると、ネメシスのデモ参加者7人のうち2人が、最初の衝突で攻撃を受け負傷した。 アサン議員は14日、この事件を非難し、捜査を求めた。ソーシャルメディア「X」への投稿で、今回のリヨン訪問で自分の警備を担当したのはLFIのみだったとし、LFIは暴力には「まったく関与していない」と述べた。 ドゥランク氏の家族の代理人、ファブリス・ラジョン弁護士は、ドゥランク氏が何らかの擁護団体に所属したり、そうした団体の警備を担当したりしたことはないと述べ、「彼はトラブルに関わったことはなく(中略)自分の信念を非暴力的に擁護していた」と話した。 ドゥランク氏の友人らは地元メディアに対し、同氏はここ数年でキリスト教カトリックの信仰を取り戻し、ナショナリズムに積極的だったと話した。 ネメシスのアリス・コルディエ氏は、ドゥランク氏は団体がデモの警護を頼んだ「15人ほどの若い男性」の一人だったと述べた。その青年たちは、「専門的な警備ではなく、女の子たちを守るために来てくれた仲間たちだった」とも説明した。 ドラン検事は記者会見で、暴行されたドゥランク氏は友人の一人と一緒に帰宅し始めたものの、移動中に容体の悪化が明らかになり、救急が呼ばれたのだと話した。 右派政治家たちは、LFIへの非難を強め、「アンティファ」と呼ばれる反ファシスト活動家の暴力をLFIが助長した責任があるとした。 欧州議会のマリオン・マレシャル議員(極右政党「国民連合」前党首マリーヌ・ル・ペン氏のめい)は、「(ジャン=リュック・)メランションの民兵が殺害し、その手は血で汚れている」と述べた。メランション氏はLFIの代表。 中道右派・共和党のローラン・ヴォキエ下院代表は「カンタンは、憎しみに導かれ暴力に目がくらんだ怪物たちに殴られて倒れた」とXに投稿した。 来年の大統領選への出馬を表明している共和党のブリュノ・ルタイヨー氏は、「ジャン=リュック・メランション(中略)、あなたが主張するのとは違い、フランスで人を殺しているのは警察ではなく極左だ」とXに書いた。 メランション氏は15日、自分が率いるLFIは「この件とは無関係だ。我々を非難する者がしていることは名誉毀損だ」と反論した。 「我々は憤りを表明すると同時に、ドゥランク氏の家族と友人たちに共感と哀悼の意を示す。我々はあらゆる暴力に反対していると、もう何度も繰り返してきた」とも、メランション氏は述べた。 (英語記事 Student death puts French far-left under pressure)