【ヤマヒロのぴかッと金曜日】 北川健太郎…部下の女性検事に対する『準強制性交罪』に問われている男だ。犯行に及んだとされる時の彼の役職は、大阪地検検事正。全国50の地方検察庁に置かれるトップの一人だった。 「検事正によるレイプと、事件のもみ消し」。起訴状によると、事件が起きたのは2018年9月。職場の懇親会で飲酒し、酩酊した部下のひかりさん(「ひかり」という仮名は本人の希望による)は、他の人に促されてタクシーに乗ろうとしたが、北川被告が半ば強引に同乗したうえ自宅である官舎に連れ込み、泥酔していたひかりさんの服を脱がせ、レイプした。途中で意識を取り戻したひかりさんはやめるよう訴えたが、北川被告は「これでもうお前も俺の女だ」と言って加害行為を続けたという。 その後、何とか仕事を続けるも、ひかりさんは理不尽な出来事に苦しめられた。うわさや誹謗中傷が大阪地検だけでなく、最高検、東京地検、法務省にまで広まり、孤立し、職場が安全でなくなっていた。 事件当日の懇親会に同席していた女性副検事がひかりさんのことを検察庁内で言いふらしていたことも判明したが、注意を受けるだけの最も軽い「戒告」処分にとどまった。事件から5年後、ひかりさんはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も職場に復帰できていない。 「あの醜い裸体が、ずっとここに張り付いているんですよ。目を開けても閉じても、物理的に自分がやることをいっぱいやっていかないと、これ(フラッシュバック)をどこかにやれないですよね。すごいショックやったから、現実として受け止めたくないし…」 テレビのインタビューにこう話す姿をみて、あらためて怒りが込み上げてくる。 24年に逮捕・起訴され、同年10月の初公判では起訴内容を認め謝罪の言葉を口にした北川被告だが、その1カ月半後、「同意があったと思っていた」と一転無罪を主張。それから5年以上も経つというのに、争点整理の手続きという理由で次の公判は開かれていない。 昨年5月、外国人記者クラブで会見したひかりさんは、事件前に北川被告から届いた口止めの手紙を公開した。ヨレヨレの文字で「明るみになれば自死する他はない、検察組織がもたなくなる」といった趣旨の情けない言葉が並んでいた。 メディアを通じて検察への不信感を訴えるひかりさんに大阪高検幹部は「やっていいこと、いけないことを区別してもらわないと、通常であれば可能な説明を行うことも出来なくなりかねません」とのメールを送りつけてきた。その後、被害者参加制度を利用している彼女に、裁判に関する情報は検察からほとんど伝えられなかったそうだ。 事態が一向に進展しない中、ひかりさんは検察組織の責任を追及するため、国や北川被告、検察幹部らを相手取り、損害賠償請求訴訟を起こした。 隠ぺい、改ざん、不当な取り調べ、大阪地検は本当に不祥事が多い。組織そのものが腐りきっているのか。そうとすれば、いつ自分もでっち上げの罪で立件されるかわからない。どんなに叫んでも事件を揉み消されかねない。だから、このような事件から目を離してはいけないのだ。おかしいと思ったらみんなで声を上げなければならない。『被害者に寄り添う検察』という理念など、聞いて呆れる。 ◇山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。