報道陣のカメラを睨みつける暴力団関係者の男の罪は…捜査当局が「微罪でも徹底的にやる」納得のワケ

集まった報道陣から一瞬も目を逸らすことなく、じっと睨みつける男──。 警視庁万世橋署から出てきたのは、指定暴力団稲川会系傘下組織の関係者・加藤天太容疑者(24)だ。2月19日、窃盗未遂の容疑で逮捕された。 「加藤容疑者は昨年7月、仲間と共謀して、東京都千代田区にあるATMで、他人名義の通帳を使って現金50万円を引き出して盗もうとした疑いがもたれています。当時、この口座はすでに凍結されていたため、現金を引き出すことはできませんでした。 逮捕前、加藤容疑者が頻繁に稲川会系傘下組織に出入りしていたため、警視庁は2月17日、事務所に家宅捜索を行っています。つまり、これは加藤容疑者の単独犯ではなく、組織的犯行の可能性も視野に入れているということです」(全国紙社会部記者) 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「警察は組織的犯罪の可能性も含め暴力団事務所を家宅捜索しているけれども、実際はそれで組織のトップを立件することは難しいでしょう。ただ民事では、使用者責任として、その組のトップに賠償責任を負わせることは可能です。今回の事件は“微罪”ですが、暴力団組織を取り締まる捜査の一環で逮捕したことは間違いないでしょう。暴力団の資金源になる事件は微罪であっても、徹底的に捜査するという意思の表れだと思います」 最近は、暴力団関係者が、こういった“微罪”といわれるような事件で逮捕されるケースが急増している。 2月9日には、東京ドームで、プロ野球の試合を観戦したとして、稲川会系暴力団幹部で無職の男(63)ら4人が建造物侵入容疑で逮捕されている。昨年9月10日、4人は東京ドームのゲートなどに「暴力団及び暴力団関係者の利用をお断りします」と書かれていたにもかかわらず、巨人対広島の試合を観戦した疑いがもたれているのだ。プロ野球暴力団等排除対策協議会は’03年12月に「暴力団等排除宣言」を採択しており、暴力団員らを球場に入れないことなどを明記している。 1月28日には、暴力団組長による家族名義のETCカード利用をめぐる裁判の控訴審が行われ、1審の無罪判決が破棄され、差し戻された。 これは’22年12月、組長と妻、組員の3人が共謀し、クルマに同乗していない妻のETCカードを使って大阪府内の有料道路を2回走行。1140円分の割引を受けたとして起訴された事件だ。 「高速道路の利用規約には『ETCカードによる料金の支払いは、通行の都度、クレジットカード会社から貸与を受けている本人が乗車する車両1台に限り行うことができる』とあります。’25年1月の1審では無罪判決でしたが、2審では、ETCカードが暴力団の活動にともなう移動の際にも使われていた点を指摘し、『一般的な夫婦間の貸し借りと単純に評価できない』として、カードの不正利用に当たると判断されました」(前出・記者) 小川氏は、これらの件を踏まえて次のように解説する。 「暴力団組員は銀行口座を作ったり、不動産屋からマンションを借りることもできません。最近はETC含め、おカネを払っても乗れないサービスが増えてきています。そのうち、飛行機も新幹線も乗れなくなるでしょう。暴力団は、資金源確保どころか、生活すること自体が厳しくなっている。組織の弱体化はますます加速すると思われます」 加藤容疑者は、ギリギリまで報道陣を睨み続け、検察に向かうバスに乗り込んだ。捜査関係者によると、調べに対し、黙秘を続けているという。

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