イスラエル人入植者から性的暴行被害、パレスチナ人男性が訴える ヨルダン川西岸

ヨルダン川西岸ヒルベトフムサ(CNN) 先週末の真夜中、数十人の覆面をしたイスラエル人入植者が、クサイ・アブアルケバシュさんが暮らす小さな村に押し入った。 彼らはアブアルケバシュさんを捕まえると手足を縛り、服を剥ぎ取った。そして性器を結束バンドで縛り、殴打しながら村中を引き回した。アブアルケバシュさんはそう証言している。 イスラエル人入植者は、占領下のヨルダン川西岸地区からパレスチナ人を追い出すため、暴力行為をますますエスカレートさせている。性的暴行も入植者たちの脅迫手段に加わった新たな武器であり、暴力の新たな段階を示している。 29歳のアブアルケバシュさんは、初めてCNNのカメラの前で自身の受けた暴行について語った。大変な痛みを味わい、殺されるのを覚悟したと振り返る。 「屈辱的な気分だった。彼らはなぜあんなことをするのか? なぜあんな風に人を縛り上げるのか?」 当時現場に居合わせたアブアルケバシュさんの家族数人が、本人の証言を裏付けた。国際的な支援団体のボランティアである外国人活動家2人もCNNに対し、アブアルケバシュさんが性的暴行を受けるのを目撃したと証言した。 イスラエル当局は、当該の性的暴行疑惑と、入植者によるアブアルケバシュさんの羊数百頭の窃盗容疑について捜査を進めている。アブアルケバシュさんによると、事件後数日のうちに警察とイスラエルの治安機関「シンベト」の捜査官が村を訪れた。自身も警察署に出頭して証言したという。 アブアルケバシュさんは、事件以来眠れていないと打ち明けた。左目には今も痣(あざ)が残り、血がにじんでいる。 「また彼らがやってきて、真夜中に私たちを殺したり、村を焼き払ったりするのではないかと心配だ。以前にそうすると告げていたように」(アブアルケバシュさん) 入植者たちはかねてアブアルケバシュさんとその家族を脅迫しようとしていたが、今回のような事態にまで至ったことはなかったという。 アブアルケバシュさんによると、妻やいとこ、父親も同じ夜に結束バンドで縛られ、暴行を受けた。入植者たちは彼らに水と泥をかけ、女性たちにはレイ​​プすると脅迫したと、アブアルケバシュさんとその親族は証言した。入植者たちは子どもたちにも暴力を振るったという。ヨルダン川西岸の占領に反対する外国人活動家2人も、同様に縛られて脅迫を受けたと語った。この2人は報復を恐れて匿名を条件にCNNの取材に応じた。 アブアルケバシュさんは警察が襲撃者を裁き、生活の糧である羊を取り戻してくれることを願っていると話す。 しかしパレスチナ人は、入植者が起こした暴力事件に関するイスラエル当局の捜査をほとんど信頼していない。実際には、有罪が確定するケースはおろか、逮捕に至ることさえもまずないからだ。パレスチナ人や占領に反対する活動家らは、イスラエルの入植者コミュニティーに蔓延(まんえん)する不処罰の文化に言及。時にはイスラエル軍の兵士が入植者によるパレスチナ人への脅迫、嫌がらせ、さらには襲撃さえも傍観していることがあると訴える。 ネタニヤフ首相率いるイスラエルの右派政権は、パレスチナ国家樹立の阻止を目的として、ユダヤ人入植地の拡大とイスラエルによるヨルダン川西岸地区の支配強化を推進。2023年以降、イスラエルは占領下のヨルダン川西岸地区における軍事活動を大幅に強化している。 ヨルダン川西岸におけるイスラエルの入植は、国際法上違法とみなされている。 危険を承知の上で、アブアルケバシュさんは自身の体験を語ることが重要だと感じたと話す。 「私は自分の体験をすべて共有する。そうすれば人々や世界は、現在何が起こっているのかを理解できる。私たちの方から彼らに何かしたことは一度もない。それなのに彼らはここへやって来て私たちを殴り、このようなことをする」「だからこそ、私は勇気を出して声を上げるのだ」

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