警察署の護送口から出てきた大柄な男は、報道陣へ威圧的な態度をみせた。鋭い眼光でカメラを睨みつける容疑者。掲載した写真は逮捕直後、送検時の戦慄姿である――。 3月18日、千葉県警佐倉署は殺人未遂の疑いで同県八街市に住む自称・無職の木内優一容疑者(61)を逮捕した。八街市の住民から、こんな110番通報が入ったのは同日昼ごろのことだ。 「隣人が押し入り、夫が首を刺されました」 通報者の自宅に駆けつけた警察官が、現場にいた木内容疑者を取り押さえた。 「木内容疑者は突然住宅に侵入し、この家に住む43歳男性の首をドライバーのような工具で刺したようです。被害男性はすぐに病院へ搬送されましたが、幸い軽傷だったとか。ただ、刺された場所によっては命を失ってもおかしくなかったでしょう。 八街市では同様の事件が相次いでいます。『男が暴れている』『刺された』などの通報が続出し、少なくとも3人がケガをしているんです。木内容疑者はたびたび近隣住民とトラブルになっていたようで、警察はいずれも本人が関与した可能性があるとみています。木内容疑者は、調べに対し『間違っています』と犯行を否認しています」(全国紙社会部記者) 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「ポイントは2つあると思います。1つ目は、容疑者が殺意を抱くほどの重大な近隣トラブルがあったのかどうか。トラブルの延長で殺人未遂事件が起きたとしたら、容疑者と住民たちとの詳しい関係を調べる必要があるでしょう。事件になる前に、トラブルを解決できなかったのかという検証です。 2つ目は容疑者個人について。生活の困窮や家族関係などで、容疑者は心身ともに追い詰められていたのかもしれません。だからといって複数の人を突然襲っていい理由にはなりませんが、慎重に精神鑑定をする必要があると思います」 現場はJR八街駅から南西に4ほどの静かな住宅街。平穏な街でなぜ殺人未遂事件が起きたのか、警察は犯行にいたる詳しい経緯を調べている。