映画好きで知られるお笑い芸人の加藤浩次と映画ライター・よしひろまさみちが、毎週おすすめ作品を紹介する映画トーク番組「加藤浩次とよしひろのサタデーシネマ」(毎週土曜朝8:00-11:00、BS10)。3月28日の放送回では、1992年制作の法廷サスペンス「ア・フュー・グッドメン」を取り上げる。作品の魅力や背景にある時代性、映画業界の事情まで幅広い話題が語られた。 ■名優たちの演技が際立つ法廷劇 映画と時代の関係を語る 本作は「スタンド・バイ・ミー」などで知られるロブ・ライナー監督が手掛けた1992年の作品。キューバの米軍基地で発生した殺人事件をめぐり、トム・クルーズ演じる若手弁護士が真実を追い詰めていく法廷サスペンスだ。 番組では、クライマックスでジャック・ニコルソン演じる軍人を追い詰めるシーンに話題が及んだ。人間の尊厳やプライドを刺激して自白を引き出す展開について、加藤は「僕の感覚では“それでいいの?”と思う部分もあった。当時の軍人の人たちは尊厳を大事にしているのがみんなに知れ渡っているから、あれが成立するんだろうな」と率直な感想を語る。 これに対してよしひろは、時代や価値観の変化という観点から「今だと成立しないだろうな」とコメント。それでもジャック・ニコルソンが圧倒的な存在感を放っていることは間違いなく、加藤は「代えがたいものになっている」とそのキャラクター性を絶賛した。 番組では脚本家アーロン・ソーキンのエピソードも紹介。本作は海軍に所属していた兄から聞いた噂話が着想の元になっているという。いわば日本でいう“かわいがり”や“いじめ”のような文化が背景にあるとされ、加藤は「小さい頃はあったよなぁ。部活とかでも」と自身の記憶を振り返る。 一方でよしひろは、現代の社会について「明るくなってきているからこそ、闇は深くなっている」とも指摘。加藤も「水面下になってしまっている。出てこないからね」と同調し、時代の変化と社会のあり方についても議論が広がった。 さらに話題は映画業界の現実にも及ぶ。ソーキンはもともとバーテンダーとして働きながら脚本家を志し、バーの紙ナプキンにアイデアを書き留めていたという。本作の成功をきっかけにブレイクし、その後はアカデミー賞を受賞する大作家へと成長した。このエピソードを聞いた加藤は俳優の立場を代弁する形で「演者さんにしてみても、こういう作品で当たりたい」と語り、「良い作品をやりたいんだけど、当たらないとダメ。ここのバランスってすごい難しい」と映画づくりの難しさを熱弁。 よしひろは制作側の事情として「当たる保証のない作品にお金が出ない」と解説し、その結果として原作ベースの作品やシリーズ物が増える傾向があると説明した。もっともシリーズ作品の流行は今に始まったことではなく、その中でもオリジナル作品は数多く生まれてきたのも事実だ。だからこそ、これからも新しい作品との出会いを楽しみにしていきたいと語る。 さまざまな名作映画を紹介してきた「サタデーシネマ」は今回が最終回。毎月の収録を毎回楽しみにしていたという加藤が「今後はプライベートでやりましょうか」と提案すると、よしひろは「いいんですか?全然行きますよ」と快諾する。番組の締めくくりにふさわしい温かなやり取りというべきか。 映画そのものの魅力だけでなく、時代背景や映画産業の事情まで語り尽くしてきた「サタデーシネマ」。作品をより深く味わうための視点を届けてきたこの番組が幕を下ろすのは寂しいが、2人の映画に対する愛情や情熱が変わることはない。いつの日か、再び2人のトークが聞ける日を心待ちにしたい。 ■「ア・フュー・グッドメン」ストーリー キューバの米海軍基地で隊員が殺害され、同部隊の兵士が犯人として逮捕される。内務調査部のギャロウェイは事件の裏に“コード・レッド”(規律を乱す者への暴力的制裁)の存在を直感し、弁護を申し出る。しかし、弁護人には若手のキャフィーが任命された。真実の追及を求めるギャロウェイは、彼と対立。やがて調査を進めるうち“コード・レッド”の実行が発覚し、さらにそれを示唆した人物が最高指揮官である可能性が高まるが…。