「ハラスメントは心に大きな傷を残します。特に性暴力の被害者の中には、自分が自分ではないような感覚に陥り、感情が乏しくなる場合も。また、現実感が希薄になり『ぼーっとしている』と思われることもあるのです。他にも多くの弊害が表出し、人間関係に影を落とすことがあります」こう語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。 山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。 今回山村さんのもとに相談にきたのは、不動産関連会社を経営する寛治さん65歳の(仮名)だ。40歳の娘は非常勤の養護教諭をつとめている。寛治さんが調査を依頼してきたのは、上場会社に勤務する42歳の娘の夫のこと。娘は14年前に職場で性暴力に遭っており、それも大きく影響していることが窺える案件だ。彼女の心のケアも必要だと思いながら、まずは現状を知るために調査に入った。