警視庁公安部による機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)をめぐる冤罪(えんざい)事件で、勾留中に胃がんが見つかり、冤罪が明らかになる前に亡くなった同社元顧問・相嶋静夫さんの遺族が9日、警察庁の警察大学校(東京都府中市)で講義を行った。 講師として招かれた相嶋さんの長男などによると、講義は事件の教訓や反省を今後の捜査や組織運営に生かす目的で開かれた。全国の警察で警備公安事件全般の捜査を指導する幹部ら約50人が参加したという。 長男は講義で、違法捜査が行われた経緯などを振り返りながら「人として正しくあってほしい。自分の背中を自分の子に見せられるか、考えて」と訴えたという。 警察が冤罪事件の関係者を招いた講義を行うのは異例で、長男は今年1月にも代理人弁護士とともに同校で都道府県警の幹部を対象にした研修を行っていた。今回は2回目の講義だった。 長男は講義後の取材に、「警察が変わろうとしてくれているんだなというのはひしひしと感じた。組織が間違った方向に進みそうになったときは、大川原化工機のことを思い出し、正しい方向へ軌道修正してもらいたい」と話した。 冤罪事件をめぐっては、軍事転用可能な機器を不正輸出したとして逮捕・起訴されたのは違法だとして、同社社長らが国と東京都に賠償を求めて提訴。東京高裁が2025年5月、捜査を尽くさずに逮捕・起訴したのは違法などと認定した。 相嶋さんの遺族は今月、逮捕や勾留を認め、保釈請求を退け続けた裁判官37人の判断は違法だとして、国に賠償を求めて東京地裁に提訴した。(松田果穂)