「居眠りしていない」高校生ら21人死傷事故でバス会社捜索 車の手配めぐり高校とバス会社で食い違い

福島県の磐越自動車道で高校生など21人が死傷した事故について、警察はバスを手配した会社に家宅捜索に入りました。逮捕されたマイクロバスを運転していた男は「居眠り運転はしていない」という趣旨の供述をしているということです。 8日午前8時過ぎ。新潟県にある蒲原鉄道の社屋に入った福島県警。 報告・橋本雅之 記者 「今、社長への説明を終えて、これから福島県警の捜査員らが事務所の中へと入っていきます」 6日、福島県の磐越自動車道で高校生らが死傷した事故は、道路運送法違反を視野に入れた捜査が始まりました。 練習試合のため、北越高校男子ソフトテニス部の生徒を乗せて、新潟市から福島県富岡町に向かっていたマイクロバスが事故を起こしたのは、磐越道の上り線です。 この事故で高校3年生の稲垣尋斗さん(17)が死亡。他の生徒など20人がけがをしています。 マイクロバスを運転し、事故を起こした無職の若山哲夫容疑者(68)。 病院で手当てを受けていましたが、7日夜、過失運転致死傷の疑いで逮捕されました。 若山哲夫容疑者 「事故を起こしたのは自分です。速度の見極めが甘かった。90から100キロ出ていた」 容疑を認めているという若山容疑者。 現場には、マイクロバスの明確なブレーキ痕や急ハンドルを切った痕跡が残っておらず、警察は、衝突するまで気づかなかった可能性があるとしています。 また、次のような趣旨の供述をしていることも新たに分かりました。 若山哲夫容疑者 「居眠り運転はしていない」 さらに、若山容疑者は客を運送して対価を得る「二種免許」を持っていなかったということです。 8日午前中に会見を予定していた蒲原鉄道は…。 蒲原鉄道・ 茂野一弘 社長 「捜査が入っているということで、会見ができなくなった。これからも捜索が続くので、お話ができない」 記者 「北越高校と蒲原鉄道では、“真逆のこと”を言っているが?」 蒲原鉄道・茂野一弘 社長 「その辺に関しても、捜索を受けている中でお話をしているところなので、細かいことは、ここでは今、お話することできない。コメントは控えさせていただきたい」 警察の家宅捜索を受けていることを理由に、会見を中止しています。 事故を起こしたレンタカーと、運転手の若山哲夫容疑者を手配したことについて、バス会社側と学校側との主張は、大きく食い違っています。 バス会社「蒲原鉄道」は…。 蒲原鉄道・茂野一弘 社長 「(学校側から)今回は貸し切りバスを使わずに、レンタカーを使って送迎をしたいという話をいただいたので、普段からお世話になっておりましたので、レンタカーの手配と、マイクロバスのタイプは普通の自動車免許では運転ができないということで、先生などに運転できる方がいないということで、ドライバーの紹介もいただけないかということでしたので、営業の担当の方から運転できる人間を紹介して、今回の運行に至った」 一方、北越高校は…。 北越高校・灰野正宏 校長 「男子ソフトテニス部顧問は、4月上旬に蒲原鉄道の営業担当者に、人数・発着時間・行き先などを伝えた上で貸し切りバスの手配を依頼し、いつも通り遠征全体が終了した後で、全体の旅程に対して蒲原鉄道に後日、代金を支払うことにしていた」 「業者側の会見で『北越高校がレンタカーの手配を依頼した』とか、『北越高校で運転できる人がいないので、運転手の依頼があった』という発言があったが、顧問によれば、全体の行程・人数などを伝えるという形で、バスの手配を以前からお願いしており、そうした発言はしていないということを確認しています」 真っ向から意見が対立する中、バス会社側は、レンタカーになった理由について、学校側の金銭面の事情があるのでは、と指摘しました。 蒲原鉄道・金子賢二 営業担当 「学校の保護者とか先生の話し合いの中で、予算組みがある。青ナンバー(貸し切りバス)を使うと高くつくので、結果的に安いものを探してよと。それがレンタカー(の手配)にたどりつく」 (Q:できるだけ安くしてくれと?) 「そうですね」 (Q:今回は予算上対応できなかったということ?) 「そうですね」 貸し切りバスの依頼ではなく、収益はなくても次の仕事につながればと思い、引き受けたと主張。 ただ、学校側はこの主張も否定しています。 北越高校・灰野正宏 校長 (Q:会社側の説明だと「学校の方から安い方、より経済的な形で」と説明があったが?) 「事実ではありません。これについては、部活の顧問に確認している」 臨時保護者会に出席した保護者は…。 保護者会に出席した人 「(部活の)顧問を信用するのか、(バス会社)蒲原鉄道を信用するのか、そのどちらかが事実とは違う話をしているのかなという印象」 事故を起こし逮捕された運転手、若山哲夫容疑者。新潟県胎内市によると、若山容疑者は、2024年までの3年間、市のマイクロバスの運転手をしていて、月に4~5回、子供たちの送迎などもしていたということです。 過去には、新潟県内の別の高校の陸上部の指導者もしていたといい、自宅に学校のマイクロバスが止まっていたこともあったといいます。 近隣住民 「マイクロバスが止まっていた。そこに止めて直接(学校に)行っていた」 この若山容疑者を運転手としたことや、レンタカーの手配そのものについてのバス会社側、学校側、双方のずさんさも見えてきました。 若山容疑者は、バス会社の営業担当の知り合いの紹介で、持病や過去の事故歴などの確認は行われていませんでした。そして…。 蒲原鉄道・金子賢二 営業担当 「僕の方(名前)でレンタカーを頼んだ」 (Q:免許証を提示していない方は運転できないのでは?) 「あーそうですか。すみません、申し訳ない。初めて知りました」 また、契約書など書面のやりとりはなく、口約束だったとしています。これについては学校側も…。 北越高校・灰野正宏 校長 (Q:見積書とっていない?) 「今回に限らず、こうした遠征・練習試合等でバスを利用する場合は、こういうかたちで依頼をするということで、書面を取り交わすことはしていないと聞いております。なかなか一般の商慣習ではありえないといった状況ですので、まずはしっかりとした業者の選定、安全管理上は、引率の形態でありますとか、そうした部分の見直しが必要かなと思っています」 子どもの部活動などの少なくない現場で行われているバスを使った遠征。事故は防げなかったのか?

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