「61%が反国家容疑」世界330人のジャーナリストが投獄中、「最も緊急度の高い10人」2026年版

2026年も5月3日の「世界報道自由デー」に合わせ、世界の40以上のメディアがワン・フリー・プレス・コアリション(OFPC。One Free Press Coalition)として連携し、真実を伝えようとしたために脅威にさらされているジャーナリストに関心を向けようとしている。2026年版「最も緊急度の高い10人(10 Most Urgent)」は、世界各地でテロや「反国家」容疑の標的にされているジャーナリストに焦点を当てたリストだ。 国際NPOのジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、2025年12月1日時点で投獄されていたジャーナリストの61%は、テロや外国政府からの資金の受領の疑いなどを含む「反国家」容疑で拘束されていた。2026年の「最も緊急度の高い10人」リストは、CPJ、国際女性メディア財団(IWMF)、国境なき記者団(RSF)の協力で作成されている。CPJのデータによると、現在、世界では330人のジャーナリストが、報道活動に関連して収監されている。 OFPCは、ここ1年で、2025年5月の「最も緊急度の高い10人」に掲載された3人のジャーナリストの釈放を祝福した。その内訳は、2021年以降、ロシアが占領するクリミアでクレムリンに投獄されていたウラジスラフ・イェシペンコ、2023年10月以降ミャンマーで拘束されていたシン・デウェ、ベラルーシで収監されていたイハル・ロシクの3人だ。 OFPCは、加盟メディア全体で10億人を超える読者・視聴者に情報を届けている。ここでは、同連合が2026年に支援を訴える10人のジャーナリストと、彼らが直面する報道弾圧の緊急事案を紹介する。 ■1. レザ・ヴァリザデ(イラン) イラン系米国人のレザ・ヴァリザデは、米国で16年間ジャーナリストとして活動した後、高齢の両親を介護するため、2024年2月にイランへ戻った。彼は、無事に帰国できる保証をイラン当局から得ようと交渉を試みたと主張している。しかし、当局はヴァリザデが国外拠点のペルシャ語メディアに協力したとして、彼を繰り返し呼び出し、尋問した。 その後、イラン当局は2024年9月、テヘランでヴァリザデを逮捕し、「敵対的な米国政府との協力」を理由に禁錮10年の判決を言い渡した。拘束中、ヴァリザデの健康状態は悪化している。2025年のイラン・イスラエル12日間戦争中にエビン刑務所が致命的な攻撃を受けた後、当局はヴァリザデを「危険なほど過密」(ヴァリザデの兄の表現)なファシャフーイェ刑務所へ一時移送した。その移送中に彼の持病である慢性ぜんそくが特に悪化した。 2025年7月、CPJからコメントを求められた米国務省は、トランプ政権が「ヴァリザデ氏とイランで不当に拘束されているすべての人々を直ちに釈放する」ようイラン政府に求めていると回答した。 ■2. ジミー・ライ(香港) 香港の裁判所は2月、民主派メディア「蘋果日報(アップルデイリー)」創業者で78歳の黎智英(ジミー・ライ)に、禁錮20年という実質的な終身刑に等しい重い判決を言い渡した。ライは2025年12月、外国勢力との結託を企てた共謀罪2件と、扇動的な内容の出版を企てた共謀罪1件で有罪判決を受けていた。裁判所はまた、ライの同僚で、アップルデイリーに所属していた6人にも刑を言い渡した。民主派メディアだったアップルデイリーは、当局による資産凍結と度重なる事務所の家宅捜索を受け、26年続いた発行を2021年に停止した。 英国籍を持つライは、中国政府が香港に導入した国家安全維持法に基づき逮捕され、2020年以降、拘束されている。この法律は、抗議活動を封じ込め、反対意見を黙らせるために使われてきた。CPJのデータによると、中国は一貫して、世界で最も多くのジャーナリストを投獄する国となっており、現在も少なくとも51人を拘束している。そのうち8人は香港にいる。 ■3. ファム・ドアン・チャン(ベトナム) ベトナムの作家・ジャーナリスト・活動家であるファム・ドアン・チャンは2021年、「反国家プロパガンダ」の罪で禁錮9年の判決を言い渡された。彼女は自身が創刊した法律誌「Luat Khoa」や、独立系英語サイト「The Vietnamese」などで、民主主義、表現の自由、人権、警察による暴力を主なテーマに執筆してきた。広報担当者によると、拘束中のチャンの健康状態は悪化しており、副鼻腔炎、関節炎、婦人科系の疾患に加え、2015年に治安当局者から受けたハラスメントの影響で、脚に長期的な痛みを抱えているという。彼女は、外部の医療機関での治療を認められていない。The Vietnameseの記事によると、チャンは「追加の処罰」として、家族から約1600キロ離れた施設に移送された。 ■4. 張展(中国) 中国人ジャーナリストの張展は、自身の報道活動を理由に弾圧され続け、現在中国で2度目の刑に服している。最初の逮捕は、新型コロナウイルスの感染拡大初期に中国湖北省武漢で取材活動を行っていた2020年5月のことで、罪状は「公共秩序を乱した」というものだった。彼女は4年間服役した後、2024年に同じ容疑で再び拘束された。上海で開かれた非公開の裁判で、張展はさらに4年の拘束を命じられた。国境なき記者団(RSF)によると、張展は弁護士との面会を認められず、自ら選んだ弁護士による弁護を受ける権利も否定されている。42歳の張展は、拘束中の不当な扱いに抗議してハンガーストライキを続けており、入院や流動食摂取の強制を受けてきた。 ■5. ウルファトホニム・ママドショエワ(タジキスタン) 2022年、タジキスタン東部のゴルノ・バダフシャン自治州で大規模な抗議活動が起きる中、当局はベテランのフリージャーナリスト、ウルファトホニム・ママドショエワを自宅で逮捕した。当局は、ママドショエワが騒乱を組織したと主張した。彼女は、反逆罪、テロ、犯罪組織の結成、暴力による国家権力の奪取、殺人、殺人未遂など、複数の反国家的な罪で有罪となり、禁錮20年の判決を言い渡された。現在68歳のママドショエワは、これまで複数のメディアで、同地域の文化、社会、地政学的問題について報じてきた。また、独立系ニュースサイトを運営し、女性の権利などに取り組むNGOも率いていた。

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