5月10日東京・世田谷区の路上で不審車両として手配されていた軽トラックをパトカーが発見し追跡。軽トラックは路地に逃げ込み一度は停止したが、警察官が降りて近づいたところ、軽トラックが突然バックしパトカーに衝突してきた。 そこで警察官は軽トラックの荷台に飛び乗るも、軽トラックは再び急発進して逃走。荷台の警察官は危険と判断し、拳銃を1発運転席に向けて発砲した。弾は天井部分に当たったとみられ、けが人はいなかった。軽トラックに乗っていた人物らは逮捕され、今後は拳銃の使用が適切だったかも含めて詳しい経緯を調べる方針となっている。 今回の軽トラックの事件、もしも銃社会のアメリカで起きていたら、警察官はどう対応していたのか。 ロサンゼルスで日本人女性初の警察官として10年間、銃社会の最前線を生きてきた永田有理氏は「トラックの荷台に警察官が乗るというのは賢い決断ではない。私だったらやらない」として「助手席にもう1人いた。その2人がもし銃を持っていたら、荷台に乗った時点で撃ち殺される。銃社会でそれをやったら完全アウト。自殺行為」と説明した。 「アメリカではかなり考えられない状況。荷台に乗るというのが、自身の全身を犯人に対してさらしてしまうことになる。警察官の方は、助手席に誰かが乗っていることも認識していたと思うので、それを考えると、助手席にいる人から発砲される可能性がすごく高い。絶対に車が動き出すのがわかるので、アメリカだったら荷台に乗ることはまずない」(永田氏、以下同) 「犯人がすごく危険な運転をしていて、パトカーや電柱に突っ込んでいったことを考えると、もし私がその現場にいた警察官だとしたら、精神的に異常がある方、薬物使用、酒、何らかの持病で発作を起こしている可能性など、それらのどれかだろうと。持病はかなり可能性としては低いと思うが、そういう風に考えると思う。この警察官の方なりに国民を守るためになんとか止めなきゃということでされたのだろうと思うが、アメリカだとああいうやり方はしない」 「この警察官の方が何のために発砲したのか。犯人を撃つために発砲したのか、それとも警告として発砲したのかが気になる。警告だとしたら、車体はメタルなので跳弾して人に当たってしまうことがすごく多い。当たらなかったのがラッキーだったと思う。もし当てるつもりだったのであれば、なぜ当たらなかったのか。日本の警察官の銃訓練の少なさを私はいつも言っているが、いろいろと課題があるのではないか」 「日本の警察官は銃をあまり抜くことが無いそうだが、アメリカではこの人ちょっと危険かもしれないと思ったぐらいで銃を抜く。銃を抜く度に書類を書くということもないし、銃を抜くことは日常的にみんながすることなので、日本との感覚の違いが大きい」「銃を抜くのはほぼ毎日だった」 銃社会のアメリカでは、年間約4万4000人が銃で命を落とすとされる。警官も相手も銃を持つ社会だが、銃の使用は“最後の選択”だという。「アメリカでも誰かを撃つということは、英語でラストリゾート(最終選択)と呼ぶが、ギリギリまでそこにいかないようにして、ダメだったら撃つ」と説明したが「私は危険を感じたら先に銃を抜く。向こうが銃を抜いてしまったら私が負ける。0.0何秒の差で」。 日本の警察官の場合、携帯する拳銃は原則1丁で弾は5発だが、永田氏はどうだったのか。「ハンドガン2丁にライフルかショットガン、どちらかは好みで。私はショットガンを常に車に積んでいました」。 元ロサンゼルス空港警察官の永田氏は東京世田谷区生まれで、高校を卒業するとプロダンサーを目指し単身でアメリカに渡り、現地の大学に進学。現地で2人の子どもを育てるシングルマザーとなり「人に役立つ仕事がしたい」と、昔観て憧れた刑事ドラマを思い出し、アルバイトを重ね、必要条件だったアメリカの市民権を取得。アメリカハイスクールの単位を取得し、2014年に念願のロス市警警察学校に入学した。当時34歳で日本人女性としても初、しかもロサンゼルスで史上最年長で警察官となった。 警察学校の教官は「卒業生18人のうち、3人はクビになる。残りの15人の半分は退職する前に死ぬ」と言っていたそうだ。 ロサンゼルスでの体験は想像を絶するものだったという。「アメリカでは警察官というだけで狙われる」と語る永田氏は新人時代の夜勤の途中、トイレに行こうと空港の中を歩いていたところ、突然何者かに後ろから首を絞められたのが最も恐怖を感じた出来事だったと告白。 「新人の時、まだポリスアカデミーを卒業して何カ月かぐらいの時に、夜勤で空港に車を停めてトイレに行こうと思ったら、背後から突然襲われた。かなりガタイのいい人に後ろから首をこう(絞める)されちゃったんですね。そうすると気道を確保しなきゃいけないというので、横を向く訓練を受けたので横を向いた。横を向いて、銃を抜かれたら困るので銃を押さえた」 「私たちの無線に緊急事態ボタンというのがついていて、その赤いボタンを押すことで、私がしゃべれなくても私の無線だけが1分間ぐらい優先的に音が流れて、それで場所がわかってみんなが応援に来てくれるというボタンがある。それを押すまでにもすごく時間がかかってしまった。結局押して、応援がみんな来てくれた」 「本当に制服を着ているだけで狙われる。アメリカは警察が差別をするとか、警察をすごく嫌いな人もたくさんいる。ロサンゼルスは特にそういった環境なので、本当に怖いなと思いました」 さらにホームレスから注射器で刺されたり、銀行強盗の犯人から後をつけ回されたこともあり、永田氏は「車を撒く訓練もしていたが、あの時はずっと追われた」と振り返った。 「空港の周辺の地域をパトロールする。ホームレスがいっぱい住んで、ドラッグをやっている地域があった。そこも今は開発されて空港の一部になっているが、当時そこでホームレスを移動させなきゃいけないという動きがあった」 「だから『出ていけ』ということをやっていて、向こうは『わかった、出るわ』と言っていたが、メンタルが異常なのでいきなり人格が変わって、ふくらはぎにブスッみたいなことがあった。エイズなどの感染症の心配があるので、定期的に病院に行って検査をしたりとか。幸い今のところ周りで発症している人はいない」 それでも警察を辞めたいと思ったことは一度もなかったという永田氏。「やっぱり『ありがとう』と言ってもらえた時、本当にうれしい。『銃社会で怖い』とかギャングがどうのこうのはいろいろあるが、子どもが『ありがとう』と言ってくれる。また、犯罪の裏の裏を知ることができる。現在YouTubeをやっているが、そういう裏を知れる。いろいろな犯罪者と喋ることができるとか、犯罪心理学を現場で学ぶことができることに非常に興味深かったので、辞めたいと思ったことはなかった。」。 しかし、2023年勤務中に負傷し、退職を決意。現在はNPO団体「LOVE SPECTRUM」を設立し、人身売買の撲滅に取り組んでいる。 日本とは文化が異なるアメリカでは、犯人との向き合い方も異なる。「よく手足を狙って撃てと言われるが、当たらない。その弾はどこに行くのか。こちらを殺しにきている相手に配慮した瞬間、自分も守るべき市民も殺される」「犯人に当たらないリスクを最小限にして、絶対に仕留めなければいけない。アメリカで射撃訓練は心臓に2発、頭に1発という練習。当たらないところを狙うのは、周りの方に被害を与える可能性がある」。 日本の警察や安全対策については「私はアメリカでの経験しかないので日本のことをしっかり語れるかわからないが」と前置きした上で「これだけの外国人とか移民問題が日本で議論されている中で受け入れるのであれば、政府がきちんとそれに対応できる対策、政策をしてほしい」と訴えた永田氏。 「警察が自分たちの身を守れなかったら、結局国民が守ってもらえない。国民が危険にさらされる。外国人というのは文化も言葉も考え方も異なるので、外国人の犯罪と今まで日本国内で日本人がやってきた犯罪というのは、まったく違う。警察が来た時に取る行動も変わってくる」 「体の大きさとか言葉の壁とか、そういうことが必ず出てくるので、きちんとやっていかないと本当に恐ろしいことになるのではないか。これから移民を入れ続けて、警察に対してきちんと訓練をさせてあげない。警察官がすごく可哀そうな状態で、同じ給料のままどんどん危険になっていって、自分たちがけがをしていく。警察の装備もいまだにゴム弾とかもなければテーザーガンとかもない。さすまたとかでナイフの人を取り押さえるなんて、時代遅れすぎる。警察官が自分を守れるように、遠くからでもゴム弾で犯人を仕留めるとか。撃つということを避けたいのであれば、他の選択肢を警察官に与えてほしい」 (『ABEMA的ニュースショー』より)