証拠品大量放置、調査申し入れ 「日野町事件」弁護団が警察・検察に

滋賀県警で大量の証拠品が放置されていた問題をめぐり、30年前に酒店経営の女性が殺されて金庫が奪われた「日野町事件」の再審を求めている弁護団は、同事件の証拠が残されていないかなどを調査するよう県警と大津地検に申し入れた。26日会見し、発表した。 この問題は先月発覚した。県警は7署で、銃器や違法薬物などの証拠品や捜査資料など計3829点が放置されていたと発表。うち1588点については関係する323事件を特定できたが、残る2241点は分からなかったとしている。 申し入れたのは、強盗殺人罪で服役中に死亡した阪原弘(ひろむ)・元被告(当時75)の再審を求めている弁護団。 元被告は、1984年に同県日野町で酒店経営の女性が殺害されて金庫が奪われた事件をめぐり、任意の取り調べで自白したとして88年に逮捕された。裁判では無罪を訴えたが、2000年に強盗殺人罪で無期懲役の判決が確定。裁判をやり直す再審を求めたが、受刑中だった11年に亡くなった。 その後、遺族が「死後再審」を求め、18年に大津地裁が、23年に大阪高裁がそれぞれ再審開始を認めたため、検察が最高裁に不服を申し立てている。 弁護団は申入書で県警に対し、日野町事件の証拠が含まれていないか、速やかに調査・確認をするように求めた。大津地検に対しては、県警が調査・確認したことを書面で報告するように、県警へ指示することを求めている。いずれも23日に郵送した。 弁護団によると、これまで捜査機関に多くの証拠開示を求めてきたが、押収した記録は残っているのに、所在がわからない証拠品もあるという。26日に会見を開いた弁護団の関口速人弁護士は「多くの証拠が、なんの事件のものか分からないので、その中に、日野町事件のものが無いともいえない」と指摘した。 県警によると、日野町事件の捜査を担当していた日野署は東近江署に統合され、同署では今回、据え置き金庫など11点の証拠品が放置されていたことが発覚した。しかし日野町事件の証拠品はなく、それ以外の6署に放置された証拠品にも、日野町事件に関係するものはないとしている。弁護団の申入書について、受理するかどうか検討している。(鈴木洋和)

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