交通事故後に搬送された病院で看護師に暴行し軽傷を負わせたとして、傷害の疑いで逮捕された女優の広末涼子(44)が16日午前6時20分、留置先の静岡県警浜松西署から処分保留で釈放された。自らの意思で集まった報道陣に向けて無言で一礼した。今後は任意での捜査が続けられる。捜査関係者によると、この日までに被害者側との間で示談が成立。傷害罪では不起訴処分となる可能性が高まった。 午前6時20分、広末は浜松西署の正面玄関から姿を現した。黒のパンツスーツに黒い靴と、芸能人の謝罪の定番となった黒ずくめの服装。風速4メートルの風に髪をなびかせながら、集まった報道陣をゆっくりと見渡し、3秒間頭を下げた。 その後、車を待つ間に表情が緩んだ。頭を上げた後に目線を足元に落とし息を吐くと口角が上がった。車の後部座席に乗り込んだ後も、助手席の男性から話しかけられると歯を見せて笑った。警察署に留置されていたとは思えないような笑顔からは、解放されたことへの安堵(あんど)の思いがうかがえた。 異例となった早朝の釈放劇。芸能事務所関係者は「早朝に芸能人が釈放されたことは記憶にない」と話した。元大阪地検検事で弁護士の亀井正貴氏は「釈放時間は警察側の事情で決まる。日中だと人が集まってしまい、業務に支障を来すことからこの時間になったのでは」と推察した。 釈放の決定は午前5時56分、その24分後に釈放。前夜には、「午前7時の釈放が有力」との情報が報道陣の間に流れていた。だが、想定よりも早い展開に地元メディアでも間に合わなかった社が多数。現場に居合わせたのはテレビ局1社、新聞社3社、出版社1社の計5社、約15人だけ。広末は釈放決定から15分ほどでメークを施して準備したとみられ、混乱を招くことなく現場を後にした。 今後は任意での捜査が続けられる。傷害罪では不起訴処分となる見通しで、交通事故の同乗者に対する過失運転致傷容疑での追送検、起訴するかどうかを判断する。 個人事務所は公式サイトでコメントを発表。「被害者に心より深くおわびする。関係者に負担をかけたことを真摯(しんし)に受け止め、誠実に責任を果たしていく」と謝罪。薬物への関与は一切ないとした上で、精神的に不安定な状態が見られたことについて「医療機関で診断を受けた上で、医師の指導の下、慎重に治療と健康回復に努める」とした。 釈放後は都内に戻り、病院で受診したとみられる。当面の間は活動を休止するとしており、反省の日々を送ることになりそうだ。