『流浪の月』『汝、星のごとく』で二度の本屋大賞を受賞した作家・凪良ゆうさんの最新短編集『多類婚姻譚』が直木賞候補となった。 本作は結婚をキーワードに、セクシュアリティやジェンダー、貧富の格差、恋愛と結婚など、すべての人々が抱える「違い」とともに生きていくことを考えさせられるエンターテインメントだ。 その中で共感を呼んでいるテーマのひとつが「東京と地方の格差」だ。 本作2話の「Beautiful Dreamer」の主人公は地方から東京に出てきた27歳の派遣社員。東京に実家のある正社員の男性と付き合っており、結婚を望んでいる。「バリバリ働きながら実家ですべて世話をしてもらっている」彼の友人女性と一緒に食事をするシーンもある。東京の高い家賃を払いながら家事もすべて自分でやらざるをえない主人公が、生活のすべてを実家に頼りながらバリバリ働く同世代の女性をうらやましく思うのは当然だろう。 キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「調査で東京と地方の格差を感じることは多くあります。東京の実家に暮らして金銭的にも安定しているはずなのに、なぜかお金がないという場合、背景に大きな問題があることもあります」と語る。 学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修業に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。 これまで「探偵が見た家族の肖像」として山村さんが調査した家族のことをお伝えしてきたが、この連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。 今回山村さんのところに相談に来たのは、34歳の大手企業の会社員・幸弘さん(仮名)だ。「妻の行動に疲れ果てました」と連絡をしてきた。妻も大手企業に勤務しており、ずっと実家暮らしだった。 山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。