売春防止法の見直しを巡る有識者検討会が行われている。5月29日の第4回会合では買春処罰の導入の是非だけでなく、売春として禁止する行為の範囲についても今後検討することとなった。一方で世界各国で性売買の規制はどのように行われているのか。その実態を風俗ジャーナリスト・生駒明氏が紹介する連載の第3回では「非犯罪化モデル」について取り上げる。 買春を違法だとして完全に取り締まる「北欧モデル」、国家の管理のもとに性売買を認める「合法化モデル」に対して、現在、国際的な人権運動のなかで大きな潮流となっているのが、「非犯罪化モデル」だ。「性売買に関するあらゆる行為は犯罪ではない」とするもので、「非処罰主義」「非犯罪主義」とも呼ばれる。根底には「成人間の合意による性の売買に、国家は介入すべきでない」「性労働も他の労働と同様に権利が守られるべき」という考えがある。 性の売り手(セックスワーカーと呼ばれる、主に女性)は「自己決定権を持つ労働者」と位置づけられる。犯罪者ではないので堂々と権利を主張でき、他の市民や労働者と同等の権利を差別なく保障される。性の買い手(主に男性)も、相手が成人で同意があれば処罰されない。 非犯罪化モデルでは、性売買のことを「売買春」という犯罪を匂わす名称ではなく「セックスワーク」と呼ぶ。「成人間の合意による性的サービスの金銭を介したやり取り」は、全面的に刑事罰の対象から外される。性売買を取り締まるための特別な法律──つまりセックスワーカー、客、そして両者に関わる第三者を制裁する目的で設けられたあらゆる刑事法や免許制度が撤廃されるのだ。 だからといって「規制がなく」、「野放し」で「無秩序」というわけではない。性産業への取り締まりは、通常の法体系──労働法や刑法などの一般的な法律の枠内で、他の多くの事業と同等に取り扱われる。