カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件で16日、詐欺拠点の「オーナー」の男が逮捕されました。「A先生」と呼ばれた男の役割と巨額詐欺の巧妙な手口とは。 (松田亘哲記者) 「タイから移送された佐々木容疑者が羽田空港に到着しました。捜査員に連れられ、うつむきながら歩いています」 16日、潜伏先のタイから移送され逮捕された住居不詳・自称会社役員の佐々木裕介)容疑者(38)。 警察によりますと、佐々木容疑者は去年2月、警察官になりすましてうその電話をかけるよう共犯者に指示し、茨城県の37歳の女性から現金3100万円あまりをだまし取った組織犯罪処罰法違反の疑いが持たれています。 ■去年8月 日本人のかけ子29人摘発 カンボジアを拠点とする特殊詐欺事件をめぐっては、去年8月、日本人のかけ子29人が摘発されるなど、これまでにあわせて37人が逮捕されています。 この捜査線上に佐々木容疑者が浮上し、今回逮捕に至りました。 佐々木容疑者はタイで生活しながら、合わせて1000人ほどいる詐欺拠点の「オーナー」として、資金提供や詐欺計画を指示していたといいます。 ■巨額詐欺の巧妙な手口とは その手口はこうです。 かけ子たちは3つのグループに分かれ、まず「1線」と呼ばれるグループが「通信事業者」を名乗り、電話口の相手にこう伝えます。 「あなたの携帯電話が不正に利用されている可能性があります。もし心当たりがなければ、警察に被害届を出してください」 その後、電話は「2線」と呼ばれる警察官役のグループへ引き継がれ、「事情聴取のため」とビデオ通話に誘導します。その際、かけ子たちはAIで生成された別人の顔を使って、「本物の警察官」だと信じ込ませていました。 そして「3線」と呼ばれる検察官などに扮したかけ子が「あなたに逮捕状が出ている。無実の証明のため、捜査に協力してほしい」などとだまし、現金を振り込ませていたのです。 ■報酬は被害額の3〜4割 調べには「黙秘します」 佐々木容疑者はカンボジアだけでなく、海外にある複数の詐欺拠点でも「オーナー」として関与していたとみられ、被害額 数十億円のうち、3〜4割を報酬として得ていたということです。 (記者)「被害者への謝罪はありますか」 (佐々木容疑者)「…」