現金の振り込み迫る巧妙な手口 特殊詐欺に遭った仙台の男性が証言「見抜くのは難しかった」

警察官を装い、現金の振り込みを迫るニセ警察詐欺で100万円をだましとられた仙台市青葉区の50代会社員男性が河北新報など報道各社の取材に応じた。詐欺グループは約6時間にわたる電話でのやりとりで男性を架空の事件の犯人に仕立て、無実を証明するためと指定する口座に入金するよう促した。冷静さを失わせる巧妙な手口に「見抜くのは難しかった」と男性は振り返った。 ■身に覚えのない未払い金を解消したい焦りも 4月19日午後3時ごろ、男性の携帯電話に国際通話の番号から連絡があった。相手は東京電力のコールセンターの職員と名乗った。 詐欺グループA<東京の西新宿にあるビルテナントの電気料金に未払いがあります。違うなら被害届を警察に出しましょう。電話をつなぎます> 「仕事上、国際電話に先入観がなく、出てしまった」と男性は語る。身に覚えのない未払い金を解消したいと焦りもあったという。 詐欺グループB<警視庁捜査2課のオノデラマコトです。最近の警察はLINEでやりとりします> LINEに誘導するとともに、ビデオ通話で偽の警察手帳を見せ、信用させた。男性は被害届を出すために個人情報を伝えた。 B<調べたところ、逮捕した犯人の家からあなたのキャッシュカードが出てきたようです。あなたも犯罪に関わっていますね> 共犯者と決めつけられ、男性はパニックに。「相手が偽物か、見抜くのは難しかった」と言う。 検察官役の別の男も加わり、逮捕状に似せた「勾留状」を画面上で示した。 B<拘束期間を短くするにはあなたの資金を調べる必要があります。指定口座にお金を振り込んでください> 男性は午後9時ごろ、ネットバンキングで100万円を指定された口座に入金した。 B<ほかの資金も移してもらいます。明日、また連絡します> その後、家族に相談し詐欺に気づいた。男性は「屈辱感と歯がゆさが混じっている。被害を増やさないために早く犯人を捕まえてほしい」と訴えた。 ■宮城県内の被害39件 警察は「通信アプリでの取り調べ、金銭の要求はない」 警察官を装いお金をだまし取る「ニセ警察詐欺」による被害は宮城県内で4月末現在、39件確認された。被害額は計1億9952万円。前年同期比で7件、8202万円増えた。県警は「警察官が通信アプリを使って取り調べをし、金銭を要求することはない」と注意喚起している。 ニセ警察詐欺は電話で「電気料金の未払いがある」「あなたに逮捕状が出ている」などとうそを言い不安をあおり、通信アプリに誘導するのが代表的な手口。 ビデオ通話で制服姿のニセ警察官が現れ、偽の逮捕状や警察手帳を示し信用させ、言葉巧みに指定した口座に現金などを振り込むよう促すケースもある。 「守秘義務がある」などと知人や警察に相談させないように口封じをさせるのも特徴の一つ。検察官を名乗る事例もある。発覚が遅れ捜査に支障が出て、繰り返し被害に遭うこともあるという。 山形県米沢市で5月、50代女性方に偽の被害届や捜査関係資料を郵送し氏名などを記入させようとする特殊詐欺の前兆とみられる新たな手口も確認された。 宮城県警組織犯罪対策1課の担当者は「心当たりのない国際電話には出ないことも重要だ。不審な電話があれば一度切り、家族や知人、警察に相談してほしい」と話す。 (吉田千夏、古賀佑美)

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