大分県警です。八田與一(よいち)を探しています--。 6月29日のJR札幌駅前。大分県警の捜査員6人が本来は担当区域外の場所で、ある事件の情報提供を求めるチラシを配っていた。 北海道内で他の都道府県の警察がこうした活動をすることは珍しいという。 道警幹部の一人はこう語る。 「それだけ大分県警の力が入っているということだ。検挙への思いは十分に理解できる。(情報提供に)協力してほしい」 「八田與一」は、2022年6月29日、大分県別府市の県道交差点で発生し、当時19歳の男子大学生らが死傷したひき逃げ事件の容疑者の名前だ。 八田容疑者の軽乗用車が、信号待ちをしていた男子大学生らの2台のバイクに追突し、そのまま逃走したとされる。 大分県警は22年7月に道交法違反(ひき逃げ)の疑いで指名手配し、警察庁は23年に道交法違反の容疑者では初めてとなる重要指名手配に指定。警察庁は「全国警察を挙げて捜査する必要がある」とした。 大分県警はその後、八田容疑者が殺意を持って故意に追突したと判断し、25年には時効がない殺人容疑でも逮捕状を取得している。 事件は26年6月29日、発生から4年を迎えた。 今回、大分以外にも10都道府県で一斉に情報提供を呼びかけるチラシを配った。札幌駅での活動も、その一環だ。 県警の捜査員たちは通行人に声をかけながら計3000枚を手渡し、受け取った70代の夫妻は「4年間も逃げることができるなんて不思議。早く捕まってほしい」と話していた。 札幌を選んだ理由もある。 大分県警によると、目撃情報は約1万2180件(5月末時点)寄せられ、そのうち北海道・東北地方では668件。見逃すことはできない数だ。 事件解決につながる有力な情報提供者には警察庁の捜査特別報奨金(上限300万円)と、遺族らの私的な懸賞金(同500万円)が支払われる。 大分県警捜査1課の須山大輔・特別捜査班班長は「多くの人たちがビラを受け取ってくれた。ささいなことでも構わないので情報提供を」と呼びかけた。情報は県警別府署(0977・21・2131)へ。【高橋惇太】