茨城県西農業共済組合(同県八千代町、大山佳功組合長)の元職員が多額の農家向け共済金をだまし取っていた問題で、同組合の第三者委員会は1日、調査報告書を公表した。組織ぐるみの不祥事が相次ぐ中、自律的に業務体制を見直すのは不可能として、組合解散や他団体との合併を含む「執行体制の抜本的な変更が不可欠」と提言。全ての組合役員の速やかな退任も求めた。 報告書は6月30日付。第三者委は弁護士と公認会計士の3人で構成。元職員による共済金詐取の発覚後、県から昨年7月に農業保険法に基づく行政処分(必要措置命令)が出されたことを受け、役職員から聞き取り調査を実施してきた。 報告書によると、元職員4人は、組合員方の家電製品が「落雷で壊れた」などとする架空の請求書を作成し、上部組織の県農業共済組合連合会に申請。共済金計約2100万円をだまし取ったなどとして2024年に逮捕、起訴され、水戸地裁でそれぞれ有罪判決を受けた。 報告書ではさらに、組合員に支払った収入保険金の着服や不適切な会計処理など、組織的な不祥事が多数認められたと説明。組織の隠蔽(いんぺい)体質も顕著だとした上で、「現在の執行体制では今後も不正行為が繰り返される恐れを否定できない」とした。 また、一部の役職員のみが不自然に多く建物共済金を受け取っていた点にも触れ、「正直者が馬鹿(ばか)を見る構図が浮かび上がった」と批判。年間予算の約4分の1は国からの支出が占めることから、現状のまま共済業務を行わせることは「組合員や国民の信任を得られない」として、解散や合併を求めた。 執行部門を監督する理事会や総代会なども全く機能していないと問題視し、現在17人いる役員は全員退任して新役員を選任する必要性も主張。選任手続き時に不当な介入を避けるため、知事の監督の下で行う方法を提言した。 不正請求によって県連合会に支払った損害賠償金の未回収分(約2700万円)については、組合財産からではなく、責任を取って役員が負担するべきとも提言。県や連合会の監督指導も十分ではなかったとして、検査体制の充実や慎重な審査も求めた。 同組合は「内容を真摯(しんし)に受け止め、組合員からの信頼回復と再発防止に努めていく」としている。 ★農業共済組合(NOSAI) 自然災害や病害虫などによる農作物の損失を補償し、農業経営の安定を図るための団体。農業保険法に基づき設立され、組合員の農家が互いに掛け金を出し合って共同準備金をつくり、被害を受けた農家に共済金を支払う相互扶助の仕組み。共済掛け金や事務費の一部には国庫補助があり、地域農業の振興を支える役割を担う。