支援者の性加害摘発相次ぐ 知的障害者ら、高いリスク 専門家「罰則強化議論を」

知的障害者らが通う支援施設の職員が、利用者に性加害を行ったとして4月以降相次ぎ摘発された。 障害者は被害に遭うリスクが健常者より高いとされ、加害者の3割以上が支援関係者とする研究もある。専門家は「障害を知り得る立場や、関係性に乗じた行為への罰則強化の議論が必要だ」と話す。 警視庁は4月、勤務先の通所施設に通う5歳女児を送り届ける際、自宅に連れ込んでわいせつ行為をしたなどとして、元施設職員の男を逮捕。その後、別の女児にも同様のわいせつ行為をしたとして複数回逮捕した。5月には、青少年支援団体が行っていたプログラムの講師だった元職員が、受講者にわいせつ行為をしたとして逮捕された。捜査関係者によると、被害者はいずれも知的障害などがあり、被害に遭った認識がなかったとみられる。 障害者の性被害を研究する日本女子大の岩田千亜紀講師(社会福祉学)によると、知的障害や発達障害がある人は性暴力に関する知識を得る機会が少なく、「被害を認識できないことがある」と指摘。そのため犯行発覚を恐れる加害者からも狙われやすく、岩田氏によると、欧米の研究では障害者は健常者に比べ性被害に遭うリスクが約2~3倍高いとされる。 一方、障害者に性教育を十分行わないといった課題や、電話相談のみで、言葉ではうまく説明できないといった障害の特性に応じた相談体制が整備されていないなどの問題点もあるという。 法務省法務総合研究所は、知的障害者ら176人が被害者となり2018年から22年に有罪判決が出た強制性交事件などの内容を調査。昨年3月に公表した調査結果によると、加害者の3割以上が支援関係者だった。また被害者の約6割が、被害の認識がないか不十分な状態だったとし、被害が潜在化している可能性を指摘した。 岩田氏は英国やカナダなどでは、障害者に支援関係者が性加害を行った場合、それを罰する法律の条文があるが、日本にはないと強調。「経済的自立や就労に関する議論はされているが、性被害についての議論は進んでいない。罰則強化も必要だ」と訴えている。

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