繁華街の飲食店や風俗店を中心に加盟店を増やしていたクレジット決済代行の全東信(大阪市)が7月6日、大阪地裁に自己破産を申請したことが報じられ、繁華街がパニックになっている。 「これから先、入金がなければ死活問題だ」 「ヤバイよ、たぶん売り上げ300万円くらいが回収できないかもしれない」 そんな声を大阪・ミナミの夜の街で聞いた。 帝国データバンクによると、全東信の破産申請時の負債総額は約1151億円超で、今年最大規模の倒産だという。全東信は2006年に設立。クレジットカード会社に代わって早期にお金を加盟店に入金し、手数料を得るサービスで、繁華街の飲食店や風俗店、美容店などを中心に加盟店を増やしてきた。 全東信の元営業マンAさんに話を聞いた。 「開店したばかりの飲食店やガールズバー、キャバクラなどクレジットカード決済の審査が通りにくいとされる業種にも積極的に営業しました。大阪から東京、福岡などの繁華街や歓楽街を集中的に営業して、業績を伸ばしました。夜の街では、全東信というプラットフォームなしに営業できないといわれたほどでした」 一般的に、店舗がクレジットカードを使用できるようにする際の手続きは時間がかかる。大手のVISAやJCBなどのクレジットカード会社に申し込みをする場合、飲食店では営業許可証や店の外観と店内、メニューなどの写真、免許証などの本人確認が必要になる。申請してから決裁が下りて、クレジットカード決済の端末が届くまで1カ月前後とされる。そして実際にカードが使用できるようになると、客の支払額から大手カード会社なら3%が手数料として差し引かれ、月に2度程度、まとめて入金される。全東信は、クレジットカード会社の手続きを代行し、大手カード会社よりも審査を簡略化して加盟しやすくするとともに、入金までの日数を短くして、早く店に現金が届くというビジネスモデルで急成長した。 「入金は月6回という、これまでクレジット業界にはない回数とスピードで一気にお客さんが増えました。例えば、毎月1日、5日、10日とそんな感じの支払い期日です。審査の敷居も低くして、申し込みがあれば数日でクレジットカード決済の端末が使用できるようにした。また、飲食店なのに保健所で許可をとっていないお客さんなら、そのお手伝いをする。酒を出す深夜営業の店なら都道府県の公安委員会に深夜酒類提供飲食店営業開始届出書というものを出す必要があるが、それを知らない店もあるのでお手伝いする。お客さんを増やすためなら、なんでもやるという営業手法でした。当然、普通のサラリーマンのような朝9時から夕方6時なんて勤務じゃなく、深夜がまさにかきいれどきでした。また、業種によってクレジットカード決済の手数料も変更し、最安なら3%以下におさえた。営業マンがまわりきれないほどの勢いで加盟店が増えました」(Aさん)