クール、ヨルダン川西岸地区、7月27日 (AP) ー パレスチナ人4人とイスラエル兵2人が死亡した一連の致死的な暴力事件ののち、イスラエルに占領されているヨルダン川西岸地区で26日夜、2軒のモスクが放火された。イスラエル人入植者による攻撃とみられている。 今回の暴力事件は、ネタニヤフ首相率いる強硬派政権が入植者によるパレスチナ人攻撃を黙認しているとして、パレスチナ側やイスラエルの野党から批判を浴びるなかで発生した。こうした事態は、西岸地区全域へ大規模な暴力が拡大する懸念を強めている。 事件後、イスラエル軍と警察は西岸地区全域に展開して主要道路を封鎖した。また、イスラエル側は拡大する暴力を抑え込むため、週末にかけて70人以上のパレスチナ人を拘束した。 被害を受けたのは、西岸地区北部のクスラ村とクール村にあるモスクで、火災により深刻な損傷を被った。 AP通信が入手したクール村の防犯カメラ映像には、私服を着た3人の人物が深夜にモスクの入口で大きな爆発を引き起こす様子が映っていた。26日には、入口に被害が残るなかで住民らが礼拝を行った。 イスラエル軍は警察と協力してモスク放火事件の捜査を進めていると発表した。軍は「治安部隊は宗教施設への被害を含むこの種の事件を強く非難し、地域の治安と公共の秩序を維持するために断固とした行動を継続する」と述べている。ただし、イスラエル軍はパレスチナ人に対する暴力事件の捜査開始を発表することは多いものの、関与した入植者の逮捕や起訴に至るケースは極めてまれである。 24日に起きたイスラエル兵2人が死亡した事件の詳しい経緯は依然として不明だが、イスラエルメディアの報道や地元のパレスチナ当局者への取材によると、入植者グループがテル村に立ち入り、襲撃を恐れた住民らと衝突したことがきっかけだったという。イスラエル軍の説明によると、パレスチナ人の1人が入植者の兵器を奪ってグループに向けて発砲し、近くの入植地の警備員であったベナヤフ・メレット氏(32)を殺害した。 ナブルス周辺の町や村は、占領下の西岸地区において最も暴力事件が多発する地域の一つである。パレスチナ人や人権団体は、武装したイスラエル人入植者が同地域の村々に侵入する事例を相次いで記録している。家畜の盗難や放火、モスクの損壊などが日常的に報告されている。 パレスチナ保健省によると、今年に入り占領下の西岸地区で87人のパレスチナ人が死亡しており、そのうち21人はイスラエル人入植者によって殺害された。また、パレスチナ武装勢力による攻撃でイスラエル人3人が死亡しており、これには24日に死亡した2人の兵士が含まれる。 1967年にイスラエルが占領し、パレスチナ人が将来の独立国家の領土として求めている西岸地区と東エルサレムには、70万人以上のイスラエル人入植者が暮らしている。国際社会の圧倒的多数は、イスラエルの入植地を違法であり平和への障害であるとみなしている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)