小学館の問題点は「編集長に権限が集中」 「マンガワン」問題巡り第三者委が指摘

小学館は3日、公式サイトを更新。同社の漫画配信アプリ「マンガワン」において、性加害で逮捕歴のある漫画家を別名義で新連載の原作に起用していた一連の問題で、第三者委員会による調査結果を報告した。 第三者委員会の調査報告書では、問題の本質を個別事案ではなく、「編集部門に権限が集中した組織体制にある」と結論づけた。 報告書は、ウェブ漫画配信サービス「マンガワン」で、過去に女子生徒への性的行為や児童ポルノ禁止法違反で有罪となった漫画家を、ペンネームを変更した上で再び原作者として起用していた問題などを検証。その上で、背景には「編集権が編集部門に委ねられている」という出版社特有の文化があったと分析した。 小学館では、作品内容や作家・原作者の起用、連載開始や継続の可否について、「基本的には各媒体の編集長が行うべきものと理解されている」とし、「編集権は強く尊重されるべきものと考えられており、編集長が編集権に基づいて行った判断については、他の編集部門、管理部門又は上位役職者であっても、これを尊重するとの考え方が広く共有されている」と指摘。「編集長に権限が集中し、編集権を理由にチェックが働かず、人権リスクを組織として管理できていなかった」という組織構造そのものを最大の原因として位置づけた。 その一方で、マンガワン編集室には「定例の連載会議は存在せず、担当編集者が個別に企画を提出し、編集長の承認を得ることで連載が決定される運用」だったことも判明。編集長の判断を組織として検証する仕組みは十分ではなかったと結論づけた。 <小学館をめぐる一連の問題の経緯> ▼2月27日 マンガワン編集部が同アプリや公式SNSなどを通じて「『常人仮面』配信停止に関するご説明とお詫び」と題した声明を発表。「常人仮面」の原作者である一路一氏について、性加害で罰金刑を受けていた漫画「堕天作戦」作者の山本章一氏と同一人物であるとし、「2020年に、山本氏が逮捕・略式起訴され罰金刑を受けたことを踏まえ、『堕天作戦』の連載を中止いたしました。しかしながら、2022年に、マンガワン編集部は、一路一名義の原作で新連載『常人仮面』を開始いたしました」と経緯を説明。「本来であれば原作者として起用すべきではありませんでした。何よりも被害に遭われた方に対し、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。 ▼2月28日 小学館が公式サイトを通じてコメントを発表。「会社として管理監督責任を問われる重大な事案であり、人権・コンプライアンス意識の欠如があったと認識しております」とした。その上で、一連の問題を解明するための調査委員会立ち上げを報告した。 ▼3月2日 小学館は公式サイトを通じ、社内調査を進めた結果、新たな原作者起用問題が発覚したと発表。20年に強制わいせつ容疑で逮捕された「アクタージュ act-age」(集英社、連載打ち切り)の原作者・マツキタツヤ氏を別名義で『星霜の心理士』の原作に起用していたと報告した。一連の問題を受け、第三者委員会を設置する方針を固めたことを伝えた。 ▼3月8日 小学館が性被害を受けた女性に謝罪していたことが明らかになった。女性の代理人を務める法律事務所が、公式サイトを通じて公表した。翌9日には、小学館が公式サイトを更新し、被害女性に謝罪したことを報告。「弊社は2026年3月5日、弊社媒体『マンガワン』にて作品を掲載しておりました山本章一氏の被害に遭われた女性に、謝罪の機会を頂戴しました」とした。 ▼3月11日 小学館が公式サイトで「週刊文春」の報道に関する声明を発表。同社の元従業員が取引先の従業員に対し、取引関係上の優位性を利用した状況の下で性的な行為を求めるなどの不適切行為があったことを認め、謝罪した。 ▼3月19日 小学館は臨時取締役会を開催し、第三者委員会を設置することを決議。第三者委員会は外部の弁護士3名で構成され、同社は「調査に全面的に協力して参ります」とした。

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