【水原、ソウル聯合ニュース】韓国各地の韓米軍事施設周辺で中華圏の外国人による安全保障犯罪が相次いで摘発され、当局が警戒を強めていることが、13日までに分かった。観光や留学を装って韓国に入国し、軍事施設を長期間にわたり観察したり、専門装備を使って交信を傍受したり、関係者に接近したりするなど、その手口も次第に組織化・高度化する様相を示している。 ◇軍用品店偽装し機密情報収集 進化するスパイの手口 警察など捜査当局によると、京畿南部警察庁は今月初め、韓米軍事施設で利敵活動を行った中国人民解放軍の元軍人2人を一般利敵などの容疑で逮捕した。 60代の中国人の男は、4月に韓米空軍の戦力が配備されている全羅北道の群山空港近くのホテルに宿泊し、戦闘機と管制塔の交信内容を違法に傍受した疑いが持たれている。 男は今年1月から、韓米空軍が軍事演習を行う時期に合わせて観光ビザで複数回入国していたことが分かった。 また、韓国系中国人の40代の男は2021年11月から今年5月までソウル南方・平沢の米軍基地の正門付近でミリタリーショップを営み、身分を偽って機密情報を収集した容疑で逮捕された。 男は部隊内の韓国人職員を懐柔し、朝鮮半島有事を想定した定例の合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」に関する資料や指揮官の人事文書などを入手。基地内部の武器の移動状況を観察・撮影していた。 男2人はいずれも中国人民解放軍に服務していた退役軍人だという。 警察は、男らが高度な手口で機密情報の入手を試みていることから、押収した電子機器のデジタルフォレンジック(電子鑑識)を行い、収集された情報が中国当局に流れたかどうかなどを集中的に調べている。 ◇現役兵士も懐柔 全国の主要軍事拠点がターゲットに 中華圏の外国人が韓国の軍事基地周辺で利敵活動を行ったケースはこれだけにとどまらない。 5月には韓米の主要軍事施設や国際空港で戦闘機を無断で撮影し、管制の通信を傍受しようとした中国人の高校生2人が一般利敵罪などに問われ、最高で懲役2年の実刑判決を受けた。外国人に一般利敵罪が適用されたのは初めて。 高校生らは望遠レンズを使い、24年下半期から昨年3月まで水原空軍基地、烏山基地、平沢米軍基地、清州空軍基地の四つの軍事施設と仁川など三つの国際空港で離着陸中の戦闘機や管制施設を数百回にわたり撮影した。 中国の情報組織が現役将兵から韓米合同軍事演習の機密情報を入手した例もあった。 韓国軍防諜司令部は昨年、現役軍人が参加するオープンチャットルームに中国人組織が軍人を装って侵入し、機密情報を渡せば金銭を支払うとして兵士を懐柔した事件を摘発した。 この兵士は江原道・楊口の前線部隊で服務していた現役兵長で、携帯電話を無許可で部隊内に持ち込み、UFSの実施計画や主要標的の位置、合同軍事演習の担当者の個人情報などの内部資料を中国側に渡していたことが明らかになった。 軍検察の捜査結果によると、この兵士は中国生まれで、中国人の母と中国ロケット軍の将校だった母方の祖父のもと、幼少期の大半を北京で過ごしていたことが確認された。 兵士は中国のSNSに軍服の写真を投稿したことをきっかけに、中国人民解放軍の連合参謀部軍事情報局に所属する工作チームと接点を持っていたことが分かった。 このほか、昨年5月には烏山基地で開催されたエアショーに無断で侵入し、戦闘機を撮影した台湾人2人が摘発され、控訴審で執行猶予付きの懲役刑が言い渡された。 同年8月には済州島の海軍基地周辺をドローンで撮影した中国人観光客2人が摘発されるなど、韓国全土の主要軍事拠点が標的となっている。 国会国防委員会に所属する最大野党「国民の力」の庾龍源(ユ・ヨンウォン)議員が警察庁から提出を受けた資料によると、20年から25年8月にかけて軍事基地および軍事施設保護法違反で送致または不送致となった外国人14人のうち、半数の7人が25年に集中的に摘発された。内訳は中国人が4人、台湾人が3人で、全員が中華圏だった。 軍当局も外国人による安全保障侵害を深刻な問題と認識しており、関連機関との協力強化など積極的に対策を打ち出している。 国防部の関係者は、元中国軍の2人の事件を軍ではなく警察が捜査した理由について「民間人(外国人)を対象に警察が捜査中の事案であり、現在適用されている容疑は軍事法院(裁判所)法上、軍の捜査機関の管轄には該当しない」と説明した。 ◇多領域の統合防諜体制急務 来月施行の改正スパイ法に期待 専門家らは、このような諜報活動は個別の事件にとどまらず、朝鮮半島安保に直結する致命的な脅威だと警告している。 韓国国防研究院(KIDA)のユ・ジフン研究委員は「通信パターンや訓練日程、主要人物の情報などは、断片的だとしても長期間蓄積・分析されれば韓米連合軍の戦力配備や作戦運用パターンが丸ごと露出する可能性がある」とし、「基地外部からの傍受や内部者への接近(ヒューミント)は、これまでの出入りの管理中心のセキュリティーシステムだけでは防ぐのが難しい」と述べた。 また、このような情報保護の脆弱性が継続した場合、米国側が韓国国内における機密情報管理に懸念を示し、結果的に韓米間の情報共有の信頼性にも悪影響を及ぼしかねないと指摘。国家情報院や警察、軍の防諜機関、在韓米軍が兆候を常時共有し、外国人の長期滞在や特定の電波受信などのパターンを分析する多領域統合防諜体制の構築が急務だと強調した。 スパイ罪の対象を「敵国」から「外国」に拡大した改正刑法が来月13日に施行される予定で、このような抜け穴を封じる制度的な盾になると期待されている。 ユ研究委員は、改正法の施行は北朝鮮が中心だった防諜の概念を多国家・多領域からの脅威への対応体制へと拡大する契機になるとし、特定の国籍についてやみくもに統制するのではなく、軍事・先端施設に対する情報接近行動パターンを中心に探知能力を高度化すべきだと提言した。