北朝鮮政権の主な外貨稼ぎ手段となっているIT労働者の海外偽装就職の手口が、人工知能(AI)の発展とともに進化していることが明らかになった。 米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は12日(現地時間)、ドキュメンタリー映像と記事を通じて「北朝鮮が米国企業内に秘密労働力を構築してきた」とし「金正恩(キム・ジョンウン)政権の資金稼ぎのため、盗まれた身元情報やAIツール、米国内の共犯者を活用し、リモートワークの職に欺いて就いている」と報じた。 WSJは「イーグルビジョン(Eagle Vision)」というコードネームを使う人物が率いる小規模な組織を1年余り追跡し、北朝鮮のIT労働者が西側諸国の企業に偽装就職して外貨を稼ぐ過程を詳細に伝えた。 ◆1000以上の企業に志願し、少なくとも9社から採用提案 報道によると、この組織は3カ月余りの間、米国・英国1000以上の企業に入社志願書を出した。このうち少なくとも9社から採用の提案を受けた。 組織員らは面接過程などを訓練したり監視したりするために画面を録画するという。実際、録画映像には、あるIT労働者が面接を控え、ソフトウェアエンジニアリング職務関連の質問に答えるためにチャットGPTに尋ねる姿もあった。 AIは西側企業に志願するほぼすべての過程で活用された。特に企業採用担当者が北朝鮮IT労働者を把握するのに慣れてくると、顔のイメージを変えるAI道具まで使用したと、WSJは伝えた。 ◆米国の協力者を活用した「ノートブック農場」 採用が決まると、米国内の協力者が動員される。身分を偽って就職した企業が特定地域の協力者に業務用ノートパソコンを送ると、北朝鮮のIT労働者らは協力者に費用を支払い、遠隔でそのノートパソコンに接続して仕事をするという仕組みだ。いわゆる「ノートパソコン農場」だ。 連邦捜査局(FBI)のある当局者はドキュメンタリーの中で「北朝鮮には米国内でそのノートパソコンを受け取る協力者が必要」と「我々のチームは、北朝鮮のIT労働者だけでなく、その生態系の運営を支援していた米国人を含め、合わせて39人を逮捕または起訴した」と語った。 別のFBI捜査官は「これまでに我々が摘発した最大規模のノートパソコン農場には約100台があった」とし「すべてのノートパソコン農場に数十台ずつのノートパソコンがあると仮定しても、これを正常に機能させるには数千人の米国人が関与することを意味する」と述べた。 米国内の協力者らは北朝鮮の組織のために銀行口座を開設したり、小切手を現金化したりもする。また、会社の会議に本人の代わりに出席することもある。 実際、米オハイオ州のある男性は会社の会議に本人の代わりに出席したことがあると話し、年収7万5000ドル(約1120万円)の仕事ならその収入を半分ずつ分けていたと、WSJは紹介した。 ◆年間最大30万ドル稼いで北朝鮮に送金 こうした手口で一部の北朝鮮IT労働者は年間最大30万ドルを稼いでいることが明らかになった。 稼いだ資金は海外の銀行口座や配送サービス、暗号資産取引、資金洗浄業者などを経由する複雑な経路をたどって北朝鮮に流れ込む。 WSJは、「イーグルビジョン」の暗号資産ウォレットを発見して分析・追跡した結果、北朝鮮の武器開発プログラムとの関連で米国から制裁を受けている企業を特定することができたと報じた。