危険すぎる? それとも弱すぎる?「国家情報局」の正体

内閣官房に新設された「国家情報局」。各機関に散らばる情報を集約・分析し、首相の政策判断を支える"司令塔"だ。 しかし、日本のインテリジェンスには、まだ足りない機能や制度も多いという。新組織の発足で何が変わり、これから何が必要になるのか。各国のインテリジェンス事情に詳しい日本大学危機管理学部の小谷賢教授に、国家情報局の実像と課題を聞いた。 * * * 【膨大な情報を「A4一枚」に】 7月31日、内閣官房に「国家情報局」が発足した。それと同時に、安全保障に関する情報活動の基本方針を審議する「国家情報会議」も内閣に設置された。 期待と懸念が入り交じる中、その実像はまだ見えにくい。鳴り物入りで始動した国家情報局だが、そもそも何をする組織なのか。 英国王立統合軍防衛安全保障研究所で客員研究員としてインテリジェンスを研究し、防衛省防衛研究所の主任研究官などを経て、現在は日本大学危機管理学部で教える小谷賢教授はこう説明する。 「国のためのインテリジェンス、つまり政策判断に必要な情報を、その国のトップである首相や大統領らに渡す。それが各国の情報機関の一番の仕事です。アメリカでもCIA(中央情報局)は大統領に情報を上げますし、イギリスのMI6(SIS、秘密情報部)も同じです。 ただ、今回発足した国家情報局は、CIAやMI6、イスラエルのモサドのように、海外でスパイ活動を行なう対外情報機関ではありません。イギリスでいうJIC(合同情報委員会)に近い組織です。 政府内には、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁など、情報を集めている機関がすでにあります。国家情報局の仕事は、各機関から上がってきた情報を集約・分析し、日本政府としての情勢判断を首相に届けることです」 重要な役割を担う一方、国家情報局の規模は大きくない。 「国家情報局は全体でたった700人ほどです。モサドが約7000人、CIAが約2万2000人ですから、かなり小規模です。 さらに、そのうち半数ほどは、内閣衛星情報センターで衛星画像の分析などを担当しています。ですから、国家情報局本体で働くのは300人ちょっとしかいません。 首相の下に情報が集まる体制になれば、政敵や選挙相手の情報収集に利用される、と懸念する声もあります。ただ、その人数で安全保障、テロ、サイバー、偽情報などの情報を処理しなければならない。各選挙区の情報まで集めている余裕はないと思います」 小谷氏によれば、これまで日本政府には、各省庁が集めた情報を政策判断につなげる体制が整っていなかった。

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