大阪・関西万博の工事費をめぐり、竹中工務店の元総括作業所長が背任の疑いで大阪府警に逮捕された事件で、元所長の自宅を改装した工事業者が、「大屋根リング」などの名目で代金を請求するよう指示を受けていたことが、関係者らへの取材でわかった。 工事業者は、万博の工事で竹中工務店の下請けに入っていた奈良県内の土木建築会社から指示を受けていたという。この会社の関係者は元所長と共謀した疑いがもたれている。 逮捕されたのは、竹中工務店社員で万博会場工事の総括作業所長だった河井辰巳容疑者(61)=奈良市北市町。 逮捕容疑は2025年2~6月、下請け会社の関係者と共謀し、万博会場内の仮設事務所の内装工事費を竹中工務店宛てに水増し請求させ、竹中工務店に約1369万円の損害を与えたというもの。 府警は20日、河井容疑者を送検した。 府警によると、水増し分は自宅や所有マンション、親族が経営する飲食店のリフォーム工事費の一部に充てられていた。一連のリフォームの総額は6千万円以上だった。 捜査関係者によると、河井容疑者と下請け会社の関係者が万博工事費で水増しを繰り返し、そのほとんどを賄っていた可能性があるという。 ■外壁は吉野ヒノキ「少なくとも数千万円は」 一連の工事の事情を知る関係者によると、河井容疑者の自宅は25年の7~12月にかけて改修された。 2階建て住宅をいったん骨組みだけに戻し、外壁を吉野ヒノキの木材に張り替えたり、内装や水回りを入れ替えたりする大がかりなリフォームだった。 「少なくとも数千万円かかっていると思う」と、関係者は話した。 リフォームは、主に下請け会社から発注をうけた業者が担った。 改修を始める際に、業者が代金を請求しようとしたところ、下請け会社から工事名目を河井容疑者の自宅ではなく、万博会場内の大屋根リングや事務所の改修工事とするよう指示があったという。 この請求書をもとに、下請け会社は河井容疑者と相談の上、リフォーム工事費を「大屋根リング関連工事」として上乗せし、竹中工務店に請求していたと府警はみている。 この業者は万博会場内で工事をしたことはなかったという。 関係者は「(業者側は)工事名目を変更したのは税金対策とでも思ったのではないか」と話す。 府警は、下請け会社の関係者にも任意で事情を聴いている。(黒田陸離、西崎啓太朗)