公開中・公開予定の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 ◇ ■バックルームズ インターネット上で広まった都市伝説を基にしたホラー作品。発熱時に見る夢のような、不条理感に満ちた世界が魅力だ。 家具店を営むクラーク(キウェテル・イジョフォー)は、ある日、店の壁の向こう側に見知らぬ空間が広がっていることを発見する。奥へ進むと、無人の部屋がどこまでも続いており…。 無人の風景を異世界に見立てた都市伝説を題材に、当時10代のケイン・パーソンズ監督が短編動画を製作。ネットで話題を呼び、弱冠20歳で長編デビューを果たした。奇妙な間取り、壁や床にめり込む家具…。「見慣れているようで何かがおかしい風景」の造形が秀逸。登場人物と一緒にさまよううち、強い不安感にのみ込まれる。米映画。 4日から全国公開。2時間6分。(耕) ■ヒンド・ラジャブの声 イスラエルからの攻撃が激化していたパレスチナ・ガザ地区で2024年1月、7人の市民が乗る車両が占領軍に銃撃される事件があった。本作では銃撃から一人、生き延びた6歳の少女ヒンド・ラジャブを救出しようと、人道支援組織「赤新月社」のスタッフたちの奮闘と苦悩を描いた。 親族の遺体のそばで「助けて」と必死に叫ぶヒンドの実際の通話音声を使用。そのリアリティーさから、罪のない市民が殺害されているガザ地区の悲惨な現実に思いをはせざるを得ない。 ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)など8冠達成。監督・脚本はチュニジアのカウテール・ベン・ハニア。チュニジア、フランス合作。4日から全国順次公開。1時間29分。(啓) ■白鳥とコウモリ 7月に亡くなった推理作家、東野圭吾の作家生活35周年記念作を、「あゝ、荒野」などの岸善幸監督が映画化。過去の悲劇を起点に幾重もの人間ドラマが綾をなす、東野作品らしさが凝縮されたミステリーを、力強い、しかし爽快な物語に仕立てた。 刺殺された弁護士、白石健介(中村芝翫)と、その容疑で逮捕され、昭和59年の金融業者殺害まで自供した倉木達郎(三浦友和)。加害者家族の和真(松村北斗)と被害者遺族の美令(今田美桜)は運命的に出会い、ともに倉木の自供に違和感を覚える。