奈良の特殊詐欺被害、全国ワースト 非常事態宣言とゼロ運動の展開

奈良県と県警、県内金融機関は15日、県庁で共同会見を開き、「特殊詐欺非常事態宣言」を発令した。昨年の県内の特殊詐欺被害額は人口当たり全国ワースト1位となり、三者は10月1日から来年2月まで「ならみんなでSTOP!特殊詐欺ゼロ運動」を展開する。 県警によると、2025年の県内の特殊詐欺の認知件数は535件、被害額は約58億円だった。26年も8月末時点で395件、約47億円に上り、被害額は前年同期より6割増と深刻な状況が続いている。 主な手口は、SNSで投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」、親族などを装う「オレオレ詐欺」、警察官などをかたる「ニセ警察詐欺」の三つ。 被害者の多くは特殊詐欺の存在を知りながらも、巧妙な手口で被害に遭う。被害が発覚するまで時間がかかるケースも多く、被害額が膨らんでいる。特にニセ警察詐欺では、犯人が「他人に相談すれば逮捕する」などと不安をあおり、誰にも相談させない環境をつくる。 また、被害の約8割は電話がきっかけで、うち約8割が「+」で始まる国際電話によるものだった。 県警は固定電話の国際電話利用休止や、警察庁が推奨するアプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」の周知を進める。アプリでは、発信元が警察かどうかを確認できるという。最新の詐欺手口は県警のアプリ「ナポリス」で発信している。 金融機関もATMや窓口での声かけなどを強化する。県金融機関防犯協議会の石田諭会長は「南都銀行では不審な動きを見た際、必ず声をかけている。被害者は『誰にも言うな』と言われているため、抵抗されるケースもあるが、勇気を持って接していく」と語った。 県は公共交通で啓発動画を流したり、高校生向けに「闇バイト」の危険性を学ぶ体験型授業をしたりする予定で、9月補正予算案に1700万円を計上している。 山下真知事は「このまま被害拡大を見過ごすわけにはいかない。自分一人で対処せず、まずは相談してほしい」と語った。相談先として、警察相談専用ダイヤル「#9110」や消費生活相談窓口「188」の活用を呼びかけている。(稲葉有紗) ■主な対策 知らない電話番号に出ない 知らない人からのSNSに応じない 公的機関や大手民間企業を装ったなりすましメールに注意 電話・SNSでのお金の話は信じない お金を払う前に相談する(稲葉有紗)

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