最近になり欧州各地で発電所や空港、軍需工場などに対する攻撃が続いており、その背後にはロシアがいるものと分析される。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、欧州連合(EU)は現在こうした形態の攻撃には対応できておらず、対応戦略をまとめることが至急だとの考えを明らかにした。 ①欧州委員長、新たなハイブリッド対応戦略用意を要求 9月16日、欧州委員会のフォンデアライエン委員長はロシアのハイブリッド攻撃に対応するための新たな共同対応体系である「緊急安全保障プロトコル構想」を欧州委員会で正式に提案した。 これは武力侵攻と見なすことはできないが、国家安全保障を脅かしかねないサイバー攻撃、海底ケーブル切断、核心基盤施設毀損などに対し、EU加盟国が要請すれば全加盟国がただちに協議・対応するメカニズムだ。事実上欧州版の北大西洋条約機構(NATO)第4条(集団防衛)に相当する。フォンデアライエン委員長は、英国、ノルウェー、ウクライナ、カナダを網羅する「欧州安全保障理事会(ESC)」新設とカナダのEU準加盟国入りも提案した。 この発言は最近欧州全域で背後にロシアがあるものと疑われるハイブリッド攻撃が急増した中で出てきた。2024年にロシアと関連したとみられるハイブリッド攻撃は2023年より約4倍に急増している。2022年2月以降に欧州で発生した攻撃は少なくとも151件に達する。 最近の事例を見ると、2025年10月にポーランドとルーマニアが、ウクライナの宅配会社ノバポシュタを利用した自家発火小包テロの謀議を摘発した。同年11月にロシアの情報機関がウクライナ人3人を募集してポーランドの鉄道網を攻撃した容疑と調査された。11~12月にはフランスの原子力潜水艦基地であるロング島の上空に無人機が出現する事件が起きている。 2026年になってからも攻撃は続いている。8月にドイツのライプツィヒ空港で爆発物が搭載されたドローンが見つかったほか、9月にはミュンヘンで防衛産業関連企業ローデ・シュワルツの社屋に放火攻撃を試みたブルガリア人容疑者2人が逮捕された。ドイツ連邦警察は2026年だけで165件以上のサボタージュ(破壊活動)疑い事例を集計した。 ロシアはこのような攻撃に対して一貫して否認しているが、西側情報機関と研究機関はロシア情報総局(GRU)が主導しているものとみている。戦略国際問題研究所(IISS)は昨年欧州全域で50件以上のロシア関連サボタージュを文書化しており、NATOは2025年にサボタージュ脅威の水準を「過去最高」と評価した。 既存のEU相互防衛条項である第42(7)条は、「武力侵攻」にだけ発動され、ハイブリッド攻撃には適用することができなかった。新たな緊急安全保障プロトコルが加盟国の全会一致の意思決定を経るならば、EUはロシアのハイブリッド戦に対しても自動的に情報共有、制裁、対応を規定できるようになる。EUはNATOと補完しながらも独自のハイブリッド抑止力を持つことになる。 ただこのプロトコルの法的根拠、権限、意思決定手続きは未定のため、提案が拘束力のある条約として具体化されるには加盟国間の長期にわたる交渉が避けられない見通しだ。 ②米空軍、F16戦闘機とC17輸送機再導入するか 第6世代戦闘機のF47と次世代空中給油機、輸送機などの先端戦力に変貌しようとしている米国空軍がこれまで運用していた戦力基盤を再検討したり提案を受けたりしている。ディフェンスブログなど外信によると、第5世代ステルス戦闘機F35Aのメーカーであり既に運用しているF16の製造会社でもあるロッキード・マーチンが、米空軍にF16Gという新型戦闘機を提案した。 ロッキード・マーチンがF16Gを提案した背景には、明確な戦力空白の懸念がある。米空軍は国防戦略に基づいて戦闘機の保有機数を増やさなければならないが、主力の第5世代ステルス機であるF35の生産速度とインフラは、老朽化したF16の退役速度に追いつかずにいるためだ。F16Gは最新のF16ブロック70/72を基盤に、機体に装着するコンフォーマル燃料タンク(CFT)と600ガロンの大型翼下部燃料タンクを搭載して航続距離を画期的に延ばした。また、赤外線探知・追跡装置(IRST)ポッドとスナイパーターゲティングポッドなど先端センサーを統合して探知・戦闘能力を大幅強化した。