ロシア、スパイ容疑で日本人記者を拘束

ロシア連邦保安局(FSB)は13日、日本の北海道新聞の記者をスパイ容疑で拘束したと発表した。日本政府の指示で、ロシアの防衛能力に関する情報を収集していたと主張している。ロシアと日本は、今年8月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が択捉(えとろふ)島(ロシア名はイトゥルップ島)を訪問したことなどから、関係が悪化している。ロシア外務省は、拘束した記者を北海道新聞の「Yuki Imai」だと発表。出国予定日の前日に極東サハリン州で拘束したという。同省のマリア・ザハロワ報道官は声明で、「外国人ジャーナリストの身分を持つ自国のロシア特派員を利用して、我が国の安全保障を損なうための情報を収集しようとする日本の動きは遺憾だ」と述べた。「今日の事件は孤立した事案ではないと、そう指摘せざるを得ない」と報道官は述べたが、同様の行為に関与しているとされる他のジャーナリストやメディアの名前は挙げなかった。ロシア国営タス通信によると、ロシア当局は、この日本人記者が「(日本の)国家情報機関の指示に基づき」、千島列島での特殊軍事作戦に関与した人物について情報を収集していたと主張している。ロシアのインターファクス通信は、この記者が首都モスクワに移送されたと伝えた。公判が始まる12月12日まで勾留される予定だという。ロシアでは、スパイ行為で有罪となった場合、最長20年の拘禁刑が言い渡される可能性がある。日本の茂木敏充外相は14日、在ロシアの日本公館が「ロシア当局に速やかな情報提供を求めている」としたうえで、「人道的な配慮、公正・公平な取り扱いについて申し入れている。邦人保護に万全を期したい」と衆院予算委員会で発言した。北海道新聞は14日、記者名を伏せたまま、拘束に関する記事を掲載した。「本紙記者は記者の査証(ビザ)を受けて、極東サハリン州のユジノサハリンスクなどロシア国内で取材活動をしていた。タスによると、本紙記者は13日に出国予定だったが、ユジノサハリンスク市内のホテルで拘束された。モスクワに移送され、捜査を受けるとしている。ロシアメディアによると、モスクワの裁判所は、記者について2カ月の勾留を認めた」と伝えている。拘束された記者はこれまで、サハリンの暮らしや、ロシアと北朝鮮の関係などについて記事を書いてきたという。日本とロシアは、日本の北海道とロシアのカムチャツカ半島の間にある千島列島をめぐり、数十年にわたり対立し続けている。択捉島のほか、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島の列島南端の4島をめぐる対立が主な理由となり、日本とロシアは第2次世界大戦後、平和条約を締結してこなかった。日本の高市早苗首相は14日の衆院予算委で、ロシアのプーチン大統領による8月の択捉島訪問について質問されると、「北方領土に関する日本の一貫した立場とは相いれず、極めて遺憾だ。日本国民の感情を傷つけるものであり断じて容認できない」と改めて強調した。ロシアは高市首相の批判を、「政治的に不適切」で「法的根拠がない」として退けている。両国の領土紛争は長年にわたり、ほとんど進展を見せていない。二国間関係も冷え込んだままで、日本はロシアが2022年2年に開始したウクライナ全面侵攻を理由にロシアに制裁を科した。ロシア最高検察庁は8日、ロシアで有罪判決が出ている国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らの身柄を引き渡すよう、ICCの本部があるオランダを含む複数の国に要請したと発表。これにも、日本政府は強く反発した。ICCは2023年にウクライナでの戦争犯罪を理由に、プーチン大統領の逮捕状を発行している。以来、赤根所長は他のICC職員と共に、ロシアに指名手配されている。ロシアは2023年3月、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのエヴァン・ガーシュコヴィッチ記者をスパイ容疑で逮捕し、2024年7月に禁錮16年を言い渡した。アメリカ国民の同記者は、同年8月に捕虜交換によって釈放された。これは冷戦終結以来最大規模の捕虜交換だった。ロシアは2019年には、軍事機密を入手しようとした疑いで共同通信の日本人記者を拘束した。ウラジオストクで拘束されたこの記者は、ロシア当局から72時間以内の出国通告を受け、翌日出国した。(英語記事 Russia arrests Japanese journalist on alleged espionage)

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