2013年に「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん=当時(72)=が射殺された事件は昨年12月19日で、発生から11年となった。京都府警は実行役とされる男を逮捕し、共犯者の捜査を続けている。事件が発生した日は厳しい寒さの中、遺族や知人が事件現場となった山科区の同社本社前駐車場を訪れ、故人をしのび、事件の全容解明を願った。 大東さんの次女真弓さん(53)は父が倒れた現場に花を手向け、祈りをささげた。「毎日、父の笑顔を思い出す。会いたい。帰ってきてほしい」と涙ぐんだ。事件については「捜査は精いっぱいしてくれていると思うが、共犯者を捕まえてほしい」と願った。 事件の第1発見者で、趣味のハトレースを通じて大東さんと親交を深めた富岡正和さん(69)は「今でも夢に(大東さんが)出てくる。11年前に戻ってほしい」と言葉を絞り出した。 王将の渡辺直人社長は「一刻も早い事件の解決を願うとともに、大東前社長の遺志を受け継ぎ、社業にまい進していく」とコメントした。 大東さんは13年12月19日午前5時45分ごろ、本社前駐車場で拳銃で腹や胸を撃たれて殺害された。京都府警・福岡県警合同捜査本部(山科署)は22年10月、実行犯として特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系組幹部の田中幸雄被告(58)を殺人などの疑いで逮捕、京都地検が起訴した。 合同捜査本部は組織的な犯行とみて共犯者の捜査を続けている。田中被告の公判については、争点や証拠を事前に絞り込む公判前整理手続きが行われており、現在、初公判のめどは立っていない。