2013年12月19日早朝、京都市山科区の王将フードサービス本社前で、当時の社長・大東隆行氏が銃撃され死亡した。発生から約9年後、特定危険指定暴力団・工藤会傘下の石田組幹部、田中幸雄被告が逮捕・起訴されたものの、裁判では無罪判決が言い渡され、事件の全容はいまだ明らかになっていない。 起訴内容を一貫して否認した田中被告には、2008年に福岡市で拳銃を発射したとして懲役10年の判決を受けた過去がある。こうした過去の経歴が裁判や立証にどう影響するのか。 元大阪地検検事・亀井正貴弁護士は「全貌というのは動機、原因。誰が利益を得るかというところからの構造が一番大事なポイント。それからもう一つのポイントは、被告の過去の経歴、ヒットマンとしての経歴、それは認定されているか分からないが。そういったものをどれだけ浮かび上がらせるかだけなのだが、その立証は基本的にはしてはいけない。過去の前科とか過去の経歴を使って犯人性を推認することはやってはいけない反則技。しかも組織的なプロの犯行の全貌なんか分かるはずがない」と、解明が非常に難しい事案だと解説。 さらに2008年福岡市で起きた発砲事件で、田中被告が逮捕、起訴され、懲役10年の有罪判決となった事案について「あれは推認を積み重ねたという、一種の反則技みたいなもので有罪を取っている。だから非常に難しい。今回も誰が利益を得たかを示すことはできるかもしれないが、この事件で動機として特定できない以上、証拠としてはこの事実と関連性がないということで、当然弁護側は排除する。つまり検察は一番大事な肝となる部分を立証できない、使えないというところで戦わざるを得なかった」と説明した。 レゾバティール法律事務所の阪口采香弁護士は「前科からの立証というのは悪性格立証と言って、『この人、前もやったから今回もやっただろう』というのは、そう言われるとそれっぽく聞こえてしまうと思うが、実際は全然関係ない可能性もあって。ものすごく特徴的だという場合には例外的にそういう立証がされることもあるが、今回拳銃が使われたとか、逃走にバイクが使われたというのはあり得る範囲。『前やったからこの人だろう』というのは、絶対にやってはいけない。悪性格立証というもので、弁護側も排除するので、それは検察は使えない」と補足した。(『ABEMA的ニュースショー』より)