【10月30日 KOREA WAVE】人工知能(AI)を使ったハッキングツールを利用し、大企業の系列会社など韓国企業約90社のシステムから個人情報など820万件を盗み出したうえ、数億ウォンの金銭を要求して脅迫したとして、韓国警察が一味を摘発した。専門のハッカー集団ではなかったが、AIの助けを借り、40日余りの間に大規模なハッキングを実行したとされる。ソウル警察庁は26日の記者会見で、32歳の男性総責任者ら7人を、情報通信網法違反や恐喝、恐喝未遂などの疑いで摘発したと発表した。総責任者は、被害が届け出られた15社から90万件の個人情報を盗んだ疑いで、9月23日に身柄を拘束された状態で送致された。残る共犯6人は身柄を拘束されずに捜査を受けている。警察によると、一味は2025年9月から2026年10月にかけて生成AIなどを使い、大企業の系列会社、冠婚葬祭関連会社、ゴルフ場、病院など少なくとも約90社のシステムに侵入。個人情報や社内資料計820万件を無断で盗んだ疑いがある。一味は被害企業に「金を送らなければ情報を流出させる」と脅迫メールを送ったとされる。これまでに38社に計3億6000万ウォン(約4270万円)相当を要求したことが確認されたが、実際に支払われた被害額は30万ウォン(約3万5600円)にとどまった。ハッキングを担当した総責任者は、情報技術を専門に学んだ経験はなく、動画投稿サイト「ユーチューブ」やブログなどで独学したと調べられた。ソウル警察庁のサイバー犯罪捜査担当者は、容疑者が過去にセキュリティー会社で、点検目的の模擬ハッキングに従事した経験はあったと説明。その一方、「容疑者の知識だけでは、これほど大規模なハッキングを短時間で実行することは不可能だ。AIの助けが大きかったとみられる」と分析した。容疑者は当初、ウェブサイトの脆弱性を探す自動化ツールを使っていたが、犯行期間の終盤に当たる8月末には、大規模言語モデルや「AI自律侵入テストシステム」を利用するようになった。中国系のオープンなAIツール「アテックス」も使われたという。警察は、容疑者がAIを使うことで、わずか40日余りの間に、犯行対象全体の3分の2に当たる約60社に侵入できたとみている。盗まれたのは、氏名、住民登録番号、電話番号、住所などの顧客情報や、役職員の情報、社内業務資料など。警察によると、カード情報などの決済情報は流出しておらず、盗まれた情報がダークウェブで二次流通した形跡も現時点では確認されていない。共犯者のうち仲介役は通信アプリ「テレグラム」で、実際に脅迫を担当する人員を募集。仲介役から指示を受けた5人が、電話やメッセージで被害企業に送金を迫ったとされる。警察の担当者は「専門のハッカー組織ではない個人でも、AIの助けがあれば多数の企業を相手に大規模なハッキングができるようになった。AIがサイバー犯罪への参入障壁を下げていることを示す事例だ」と話した。捜査は2026年6月、被害企業1社からの申し立てを受けて始まった。同じ手口の被害届が全国で相次いだため、8月にソウル警察庁が事件をまとめて捜査。共犯者を順次摘発した後、被害企業の記録などを分析し、総責任者の逮捕に至った。警察は共犯者の追加捜査や被害企業の確認、犯罪収益の追跡を続ける方針だ。また、この事件の捜査では内部ネットワークに生成AIの分析システムを構築し、捜査資料や侵入記録の分析に活用したという。(c)KOREA WAVE/AFPBB News