大川原化工機冤罪、なぜ裁判官は保釈を却下? 「証拠隠滅の恐れ」

機械メーカー「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件で、保釈されないまま病死した同社元顧問の遺族が「身体拘束を認め続けた裁判官らの判断は違法だ」として、国に賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が30日、東京地裁であった。国側は「証拠隠滅のおそれがあった」などとして、賠償責任はないと反論した。 亡くなった相嶋静夫さん(当時72)は2020年、軍事転用可能な機械の不正輸出の疑いで社長らとともに逮捕された。東京地裁に計8回、保釈を求めたが、胃がんの判明後も「証拠隠滅のおそれがある」として退けられるなどし、21年に入院先で死亡した。後に社長らの起訴は取り消された。 裁判で遺族側は、相嶋さんの逮捕や勾留を認め、保釈請求を退けた裁判官計37人の判断の違法性を問うている。これに対し国側は、裁判官の判断をめぐり国が賠償責任を負うのは、裁判官が「違法・不当な目的で裁判をした」など極めて限られた事例だと述べ、今回の一連の判断についても責任を否定した。■がんだった父「証拠隠滅できたのか」 また、相嶋さんらが容疑を否認していた点を挙げ「事件関係者に働きかけて証拠を隠滅させる恐れがあった」などとして、身体拘束を認めたことは適法だと強調した。遺族側は「証拠隠滅のおそれ」を認めた具体的な根拠を示すよう求めている。 この日、原告である相嶋さんの次男は法廷で意見を述べた。父が逮捕・起訴された事件の中心的な争点は法律の解釈だったとして「父は誰に働きかければ法律の意味を変えられたのでしょうか。そんなことは不可能だったのではないか」と指摘。「進行性胃がんだった父が、誰に接触してどう証拠を隠滅できたのか。具体的に知りたい」と訴えた。 代理人の吉田京子弁護士は法廷で「国はただ『違法不当な目的をもって裁判したのではない』と繰り返しているだけ」だと批判した。 「裁判官であっても、ゆだねられた役割を大きく逸脱して人を死なせてしまったとしたら、責任を負わなければならない。そうでなければ、また誰かが身体拘束下で命を落とす日が来る」と述べた。(黒田早織)

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