サイバーセキュリティの専門家は、攻撃者によるウェブサーバーの乗っ取りを可能にしかねない、深刻なPHPのバグを発見した。AIが脆弱性の悪用に使われ、アメリカ人が詐欺の被害に遭いやすくなっている。専門家は、特に高齢のアメリカ人に対して、基本的なサイバーセキュリティ対策と詐欺への警戒意識の重要性を強調した。わずか2日間で、AIは全ウェブサイトの70%を支えるプログラミング言語に重大な脆弱性があることを明らかにした。これにより、特に高齢のアメリカ人のような脆弱な人々を標的とする詐欺が増加する可能性がある。先週、サイバーセキュリティの研究者が、プログラミング言語「PHP」に存在する2件の深刻なバグを発見した。攻撃者はウェブサーバーを乗っ取り、リモートコードを実行できる可能性があった。これを受け、PHP財団(PHP Foundation)は大規模なハッキングを防ぐ緊急パッチをリリースし、政府、サイバーセキュリティ機関、企業も迅速に被害の抑制に動いた。一部の専門家は、こうした脆弱性に直ちに対処していなければ、さらに多くの問題が起きていた可能性があると述べた。しかし、このような危機は再び起こり得る。AIがより高度かつ広範に普及するにつれ、アメリカ人は詐欺の脅威にさらされる機会が増え、詐欺被害に遭いやすくなっている。詐欺は、物理的な郵便物や固定電話を使ったテレマーケティングに始まり、数十年にわたって広がってきた。しかし現在では、はるかに複雑で巧妙になり、AIを組み込むことで、テクノロジーに精通した人でさえ見抜けない場合がある。アメリカの高齢者は詐欺の主な標的になることが多く、被害額は数十億ドルにのぼる。全米退職者協会(AARP)が4月に実施した調査によると、アメリカ人高齢者の10人に4人が詐欺で金銭的な被害を受けている。攻撃者があらゆる脆弱性を突いて個人情報を盗んだり金銭を得たりするなか、5人の専門家はBusiness Insiderに対し、今こそ詐欺の防止に先手を打つ時だと語った。専門家の発言は、長さと明瞭さを考慮して軽微な編集を加えている。クレイグリスト(Craigslist)の創設者で、サイバーセキュリティー啓発キャンペーン「テイク9(Take9)」を立ち上げたクレイグ・ニューマークアメリカの高齢者を狙う詐欺には、どのようなものが多いのか?ハッカーはAIを使い、誤字をなくして詐欺を見破りにくくしている。AIによって、大量の標的型詐欺を作り出すことも容易になっている。その手口には、AIによる音声複製や、個人情報を得るためにSNSアカウントをスキャンすることも含まれる。こうした詐欺は増加しており、私のような高齢者を含む多くの人が実際に被害を受けている。システムの脆弱性に関する最近の報道を、どう受け止めるべきか?慌てる必要はないが、無視してもいけない。詐欺師の手口を見抜き、騙されないようにする責任を一般の人々が負うべきではない。一般の人が最も重視すべきなのは、基本的なサイバーセキュリティ対策だ。グーグル(Google)やアップル(Apple)などの企業は、特にスマートフォン上での詐欺を阻止するために懸命に取り組んでいる。詐欺の手口がより巧妙になるなか、身近な人々に自分自身を守るための知識や対策を身に着けてもらうことも同じくらい重要だ。人々の詐欺に対する警戒心を高めるために、どのような取り組みをしているのか?私は25年間、詐欺と闘ってきた。詐欺は決して他人事ではないと考えている。だからこそ、人々が自分自身を守り、インターネットを安全に利用する方法を理解できるよう支援するため、2024年にテイク9(Take9)を立ち上げた。詐欺の手口はあまりにも多く、どこから始めればいいのか分からない人も多い。私からのアドバイスは、基本から始めることだ。知らない相手から届いたメッセージやリンクをクリックする前に、9秒間立ち止まる時間を取る。それができるようになったら、多要素認証、パスワード管理ツール、パスキー、シングルサインオンを試してみる。また、家族間で合言葉を決めておくことも、大切な人の安全を守る効果的な方法だ。セイバー・ウェルス(Sabre Wealth)の認定ファイナンシャル・プランナーで、CFPボード(CFP Board)アンバサダーのドン・グラントアメリカの高齢者を狙う詐欺には、どのようなものが最も多いのか?詐欺では、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)やメディケア(公的医療保険制度)、社会保障局などの公的機関になりすます手口がよく使われる。また、偽のテクニカルサポートを装った詐欺師が、銀行や金融機関で情報漏えいが発生したと主張して連絡してくることもある。良い友人で顧客でもある男性は60代半ばで、独身のノートルダム大学卒業生であり、大学を退職した英語教授だ。彼は、美しく、仕事でも成功している恋人について、ひっきりなしに話していた。彼女は彼に写真を送っていたものの、彼は実際に会ったことも、ビデオチャットで話したこともなかった。今年初めまで話を進めると、2人はもう交際していなかった。彼はしぶしぶ、彼女が自分をだまそうとしていたと認めた。彼は実際、彼女の9歳の娘を音楽学校に入学させるための支援として、彼女に約1200ドル(約18万6000円、1ドル=155円換算)を送っていた。彼女が引っ越しを理由に10回ほど金銭を要求したことで、彼はようやく詐欺だと気づき、関係を断った。私たちが把握した情報を総合すると、これはAIを悪用したロマンス詐欺だったと考えられる。システムの脆弱性に関する最近の報道を、どう受け止めるべきか?組織でセキュリティ侵害が発生したからといって、必ずしもあなたのアカウントが自動的にハッキングされたというわけではない。しかし、ログイン認証情報を変更すべき時期であることは確かだ。引き出し、送金、パスワード変更など、アカウントに関するあらゆる操作について通知を設定することだ。利用しているウェブサイトや金融機関から、心当たりがないメールが届いたら決して返信してはいけない。メールに記載された電話番号に電話したり、リンクをクリックすることも避けるべきだ。時間をかけて、正規のウェブサイトにログインし、信頼できる電話番号に電話して問い合わせることだ。人々の詐欺に対する警戒心を高めるために、どのような取り組みをしているのか?コミュニケーションと啓発活動が重要だ。私は金融詐欺について率直に話す機会を設け、詐欺師が人々から金銭をだまし取ろうとした実際の事例を、匿名で紹介している。他の人の体験を伝えることが、詐欺の危険性を本当に理解してもらううえで効果を発揮しているようだ。また、すべての顧客に、不審な取引に気づいた場合や、金銭的な搾取の可能性が懸念される場合に連絡できる、信頼できる連絡先を指定してもらうよう求めている。詐欺に遭った人が「愚かだ」と見なされる偏見をなくすことが最も重要だ。多くの被害者はだまされたと認めることを恥ずかしく感じ、その恥ずかしさが助けを求めるのを妨げる可能性がある。グラウンドワーク・コラボレイティブ(Groundwork Collaborative)の政策・アドボカシー・調査担当上級副社長、アレックス・ジャケスアメリカの高齢者を狙う詐欺には、どのようなものが多いのか?米連邦取引委員会(FTC)は最近、2025年の詐欺被害の状況について説明した報告書「高齢消費者の保護(Protecting Older Consumers)」を公表した。高齢者を対象とした被害報告件数で上位を占める詐欺の種類には、オンラインショッピング詐欺、企業のなりすまし、政府機関のなりすまし、投資詐欺などが含まれる。これらに加えてロマンス詐欺も、高齢者が被った損失総額で上位を占める詐欺だ。詐欺師はAIを使ってディープフェイクを作成し、声を複製し、フィッシング詐欺のメッセージを送る。こうした詐欺の手口自体は新しいものではないものの、AIによってますます巧妙化し、より大規模に実行できるようになっている。また、詐欺師はAIを活用した予測分析によって、特に詐欺の被害に遭いやすい人々を特定することもある。2026年3月、インターポール(国際刑事警察機構:INTERPOL)は「AIで強化された詐欺は、従来の手法より4.5倍も収益性が高い」と警告した。AIエージェントが詐欺師に代わって詐欺を完遂できるためだ。システムの脆弱性に関する最近の報道を、どう受け止めるべきか?人々は、システムの脆弱性に関する最近の報道を、より大きな問題の一部として捉えるべきだ。企業は利用者に関する大量の情報を収集する一方で、その保護を怠っている。現在、消費者はデータ侵害や巧妙な詐欺にさらされている。人々の詐欺に対する警戒心を高めるために、どのような取り組みをしているのか?我々は、企業がより巧妙な手法や高度なテクノロジーを使って消費者から金銭を搾取している実態を明らかにするため、消費者や政策立案者に向けた資料を公表している。特にAI時代においては、一般的な詐欺に対する警戒を怠らず、被害を防ぐために個人が実践できる対策もある。しかし、問題の根本的な解決には、政策立案者による制度的な対応が不可欠であると私たちは考えている。企業には、消費者データをより適切に保護し、不要なデータの収集をやめ、消費者から最後の1セントまで搾り取るためにデータを利用するのをやめてもらう必要がある。全米退職者協会(AARP)詐欺監視ネットワーク の被害者支援担当シニアディレクター、エイミー・ノフジガーアメリカの高齢者を狙う詐欺には、どのようなものが多いのか?全米退職者協会 詐欺監視ネットワーク(AARP Fraud Watch Network)のヘルプラインに報告される詐欺の種類として、なりすまし詐欺は依然として最多だ。詐欺師は、「アカウントに問題があり、遠隔からアクセスする必要がある」と言ったり、裁判所の職員を装い、「陪審員の義務を果たさなかった」として、逮捕を免れるために金銭を支払うよう要求したりする。AIは人間の本質を変えたわけではないが、詐欺の規模やスピード、巧妙さを変えた。犯罪者は今も昔も変わらず、恐怖や信頼、孤独、希望、好奇心、焦りといった人間の感情につけ込んでいる。以前は、詐欺を見抜くための危険信号として、メールのスペルミスや不自然な文法に注意するよう呼びかけていた。しかし、現在のAIツールを使うことで、そうした手掛かりが見られなくなっていることが多い。システムの脆弱性に関する最近の報道を、どう受け止めるべきか?システムの脆弱性やデータ侵害に関する報道を見て不安になるのは理解できるが、重要なのは自分でコントロールできることに集中することだ。目的は恐怖の中で暮らすことではない。情報を把握し、何かおかしいと感じたときは立ち止まり、助けを求めることだ。私たちは一人で対処する必要はない。人々の詐欺に対する警戒心を高めるために、どのような取り組みをしているのか?全米退職者協会 詐欺監視ネットワークでは、個人や家族が詐欺から身を守るための支援をしている。誰でも利用できる無料のリソースだ。私たちは詐欺被害を防ぐための情報やオンラインツールの提供に加え、受賞歴のあるポッドキャスト番組「パーフェクト・スキャム(Perfect Scam)」の配信、そして年間10万件以上の電話相談を受け付ける「詐欺監視ネットワーク・ヘルプライン」の運営も行っている。全米暗号資産協会の対外関係担当副会長、アリ・テイガーアメリカの高齢者を狙う詐欺には、どのようなものが多いのか?オンライン上でよく見られる金融詐欺には、ロマンス詐欺やなりすましがある。「景品詐欺(Giveaway scams)」とは、詐欺師が著名人になりすまし、最初に利用者が少額を送れば「無料」で金銭や暗号資産を受け取れると約束するものだ。フィッシング詐欺では、詐欺師が友人や暗号資産取引所の担当者を装い、被害者にリンクをクリックさせたり、ログイン情報を共有させたりして、個人情報を盗み取る。パンプ・アンド・ダンプ詐欺は、集団がオンライン上の煽動を通じて、知名度の低い暗号資産の価格を人為的につり上げる手口だ。十分な人数が参加して価格が急騰すると、詐欺師は保有資産をすぐに売り抜けて利益を得る一方、他の参加者を取り残す。システムの脆弱性に関する最近の報道を、どう受け止めるべきか?警戒はしても、慌てないことだ。銀行口座であれ、Venmoのアカウントであれ、暗号資産口座であれ、常にセキュリティを最優先に考えるべきだ。自分自身を守るためには、まず一般的な詐欺の手口を知り、インターネットを安全に利用する習慣を身に着けることが重要だ。暗号資産を保有する人は、銀行口座番号やパスワードと同じように、秘密鍵やリカバリーフレーズ(復元用の言葉)を厳重に管理する必要がある。正規の企業がこれらの情報を尋ねることは決してないため、他人には絶対に共有せず、記録した紙などの物理的なバックアップは安全な場所に保管することだ。送信元のメールアドレスが不自然だったり、スペルミスがあるなど、小さな手掛かりに注意し、ディープフェイクや偽サイトも一見すると本物に見えることがあると覚えておく。人々の詐欺に対する警戒心を高めるために、どのような取り組みをしているのか?詐欺師にとって最大の弱点は、詐欺に関する知識を備えた人々の存在だ。全米暗号資産協会(National Cryptocurrency Association)は、一般のアメリカ人が暗号資産を理解し、安心して利用できるよう支援することに取り組んでいる。調査によると、暗号資産保有者の72%が、詐欺やセキュリティーを懸念事項として挙げている。一方で、暗号資産保有者の76%は、暗号資産が全体として自身の生活に良い影響を与えたと答えており、悪影響を報告した人はわずか3%だった。そのうち、およそ3分の1が詐欺・不正行為に関連している。