舛添要一氏、韓国・尹大統領の逮捕に「議院内閣制ならこんなことは起こらない」

韓国の捜査当局は19日、非常戒厳を巡り尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を逮捕した。高官犯罪捜査庁は、非常戒厳を巡る内乱の疑いで請求されていた尹大統領の逮捕状が午前3時頃に発布されたと発表した。現職大統領の逮捕は初めてとなる。 尹大統領は最大20日間拘束され、取り調べを受けることとなる。15日に拘束され、その後逮捕状が請求されたという。18日に行われた裁判所での逮捕状審査には本人が出席し、およそ45分間にわたり意見を述べた。弁護士は逮捕・拘束の不当性を明らかにするため出席したと説明している。 現在の韓国情勢について国際政治学者の舛添要一氏は、内乱罪にあたるかの刑事犯罪としての捜査と弾劾裁判の2つが同時に進行しているとして「最初は野党の方が勢いがあったが、今は与党の尹大統領支持派の方が少し上回っている。世論が変わってきているのが今の状況」と説明した。 背景にあるのは韓国の政治文化で、舛添氏は3つのポイントを挙げる。1つ目は「恨(ハン)の思想」だとして「『恨み』とあるように、韓国がこうなったのは日本が植民地支配をしたから。日本に恨みがある、だからいじわるしようと。特に前の文在寅(ムン・ジェイン)政権では日本の自衛隊の飛行機にレーダーを出す(韓国海軍レーダー照射問題)など、いろいろと変なことをやってきたというのがある。この恨の思想というのはずっとある。恨み、妬み、憧れも含めて」と解説。 2つ目に「韓国の歴代大統領」を挙げて「自分より前の王様を殺していく。歴代の大統領を見るとみんなやられている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は自殺をしている。そして李明博(イ・ミョンバク)氏は懲役17年。朴槿恵(パク・クネ)氏は懲役20年だが、恩赦で出ている。政権交代になると助かる。韓国の友人の政治家が捕まった際には、次の選挙でこっち(対立する政党側)が勝てばすぐ恩赦、となった。そのため今回の逮捕も同じことになる可能性がある」との見方を示した。 また、韓国の大統領が力を持ちすぎていることを指摘して「大統領制と議院内閣制の違いがあり、アメリカのトランプ氏も力を持ちすぎていてどうなるかわからない状況だが、韓国も同じシステムを借りてきている。日本やイギリスは議院内閣制であるため、石破総理が独裁者なるとは誰も思わない。イギリスのスターマー首相もなるとは思わない。議院内閣制の方がブレーキがいっぱいある。石破総理が悪いことをしそうになったら、自民党が引きずり下ろす。それができないということ。大統領制より議員内閣制の方がこういう問題(今回の韓国のような問題)が起こらない」と述べた。 3つ目は「SNSの陰謀論」だとして「4月に総選挙があったときに、与党がボロ負けした。それで野党は過半数を取ったので、そのときに日本式に言うとネトウヨの人たち(ネット上で右翼的な言動を展開する人々)が『北朝鮮が工作をやったんだ』『北朝鮮がやったから負けたんだ』と、どんどん流す。すると尹大統領がそれを見て信じて、『北朝鮮の工作で俺たちは負けたんだ。国会議員に悪いのがいるから、戒厳令でやっつけちゃおう』となった」と説明した。 また、「戒厳令は国会が承認しないといけないのに、国会に軍隊を入れた。その承認をやらせないでやろうとしたことが犯罪として一番大きい。しばらく混乱が続くだろう」と推察した。 現在の大統領の仕事については「大統領が駄目になったら首相が代行にあたるが、首相も弾劾されたため、今は(経済)副首相が全部やっている。とてもじゃないけどやっていけない状況。そんな中でトランプ氏がでてきて米韓関係、日米関係がガタガタなので何とかしてほしい」と語った。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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