トランプ米大統領の就任によって、国際社会は先の読めない不確かな局面に入る。軌を一にして先進国の政治も、東アジアで協調すべき韓国の政情も混迷を深めている。日本の政治の安定と国際社会への役割は重要性を増す。 トランプ氏は、就任に先立つ支持者集会で「米国を再び偉大にする」と強調した。多くの大統領令で米国を正しい軌道に乗せると宣言した。 大統領令は、少なくとも100件を超えるとされるから尋常ではない。米国史上最大規模とされる不法移民の強制送還は米社会の対立、分断を深め、不穏な世情をかき立てないか。パリ協定からの離脱など、地球温暖化抑止への世界の潮流とは真逆の対応も講じるとみられている。 日本を含む貿易相手国への一律の関税強化は、自国の産業を守る確固たる覚悟か、個別交渉を完遂する材料なのか。仮に本気で実行するなら同盟国、友好国ですら経済の敵と見なし、摩擦は避けられない。高関税をはじめ、一貫した自国第一主義は、米国が孤立しても意に介さない独善性を物語る。歯止めの利かない政権運営が国際協調に亀裂を生む末路に憂慮を拭えない。