2024年に大分県警が確認した特殊詐欺の被害額は7億3684万円に上り、前年の2・4倍となった。交流サイト(SNS)をきっかけに知り合って金をだまし取る「SNS型投資・ロマンス詐欺」も16億1237万円と1・6倍に急増した。合計の被害額は23億4921万円に達し、県警は「危機的な状況」と捉えている。 県警安全・安心まちづくり推進室によると、特殊詐欺の件数は280件で前年より74件増えた。 被害者は男女とも140人ずつ。年齢別では60歳以上が138人でほぼ半数を占めた。約8割は犯行グループからの電話をきっかけに被害に遭っており、内訳は携帯電話への連絡が730件、固定電話が644件だった。 手口で最も多かったのは架空料金の請求名目で153件。警察官などをかたる「オレオレ詐欺」の64件が続いた。実態のない副業に勧誘し、金銭を詐取する被害は20代など若年層の被害が目立った。 警察官や検察官を装い「犯罪に加担している」「逮捕状が出ている」などとうそを言い、金を要求する手口は昨秋ごろから急増。被害額は約5億円で全体の7割に迫った。 SNS型投資・ロマンス詐欺は279件で前年比103件増だった。被害の中心は40~50代の118人。男性が177人と6割以上を占めた。著名人や外国人女性などをかたり、うその投資話を持ちかける手法が全体の9割近くに上った。 最初はフェイスブックやインスタグラム、マッチングアプリなどを通じて被害者に接触を図り、その後LINE(ライン)に移行してやりとりをするパターンがほとんど。数カ月かけて信頼関係を築き、その上で詐取するため、だまされたことに気付くのが遅れ被害が高額になるケースが多かった。 昨年11月には、福岡県内の60代男性が中国人女性を名乗る人物と半年以上やりとりを重ね、大分県警が把握する中では過去最悪の1億6千万円をだまし取られた。被害を受理した日田署によると、男性は女性と一度も会ったことはなく、文字のみで連絡を取り合っていたという。 被害急増の背景として、県警は社会全体の投資熱の高まりや、ビデオ通話などを使って相手を信じ込ませる手口の巧妙化が影響しているとみている。被害を防ぐため、関係機関と連携し街頭活動などに力を入れている。 安全・安心まちづくり推進室の神田英樹室長(47)は「会ったことも見たこともない人からお金の話をされた場合は詐欺を疑ってほしい。少しでも怪しいと思ったら迷わずに家族や警察に相談してもらいたい」と呼びかけた。