女性を性風俗店などに違法にあっせんしたとして、国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」のメンバー(32)ら男2人が職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で逮捕された。 会社組織のように分業制を敷く一方で徹底管理し、暴力も辞さない。警視庁の4年超にわたる捜査で、約1500人のメンバーを抱えるとされる巨大スカウト集団の実態がみえてきた。 捜査関係者によると、ナチュラルは2009年に東京・歌舞伎町で活動をはじめ、現在は六本木や横浜など首都圏のほか、北海道や熊本など全国の繁華街にも進出しているという。 警察として存在を初めて把握したのは20年6月。歌舞伎町でのナチュラルのメンバーと指定暴力団住吉会系組員らによる乱闘事件だ。スカウトの引き抜きを巡る対立で、警視庁は組員やナチュラルのトップなど計7人を傷害容疑などで逮捕した。 この捜査の過程で明らかになったのが、暴力団とも対立するナチュラルの凶暴さと、組織内で粛清も辞さない徹底管理された組織性だ。 ■月数百万円受け取るスカウトも 組織は「プレーヤー」と呼ばれるスカウト部門と、「本社」と呼ばれる運営部門に分かれる。 スカウト部門は五つに班分けされ、店を通じて受け取る「スカウトバック」の額が成績となる。「ダイヤモンド」「プラチナ」など10段階で順位付けされ、中には月に数百万円を受け取るスカウトもいるという。 運営部門は六つに分かれ、スカウトバックの確認や店とのトラブル解決を担う「集金課」などがある。グループは警察を「ウイルス」と呼んで私服警察官の顔をメンバー間で共有し、運営部門には「ウイルス対策課」もある。